2016 Fiscal Year Research-status Report
小児肝移植患児移行期支援を目的とした野外教育活動プログラムの開発
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16K12172
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
添田 英津子 慶應義塾大学, 看護医療学部(信濃町), 講師 (70310414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 健 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (70190197)
山田 洋平 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (60383816)
下島 直樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30317151)
黒田 達夫 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (60170130)
篠田 昌宏 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (50286499)
北川 雄光 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (20204878)
田邉 稔 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50197513)
中丸 信吾 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 助教 (70424231)
瀧 直也 信州大学, 教育学部, 講師(特定雇用) (70545152)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小児肝移植 / 長期フォロー / QOL / 生きる力(IKR)尺度 / 移行期支援 / アドヒアランス / 野外教育活動 / 看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】 わが国で最初の生体肝移植が行われてから四半世紀(25年)以上が過ぎた(Nagasue et al. Transplant Proc. 1992)。当初、肝移植の主な対象は末期肝不全状態にある患児であったが、移植の手術手技や周術期管理の進歩により、今や成人患者に対する治療としても確立した。2010年には、臓器の移植に関する法律(臓器移植法)の一部が改正され脳死肝移植数も微増した。2015年度末までの総肝移植数は8387例であり、ドナー別では、死体移植(脳死移植・心停止移植)が321例、生体移植が8066例。そのうち、18歳未満の小児期に肝移植を受けたレシピエントが2942例(35.1%)である。肝移植患児(生体肝移植)の累積生存率は、1・3・5年がそれぞれ89.4・87.8・86.8%であり、さらに20年の長期生存率は80.9%と、多くの患児が長期生存を遂げている。 一方で、総肝移植数のうち(小児・成人問わず)、再移植が256例・再々移植が14例と、慢性拒絶や肝臓脈閉鎖・胆管合併症などにより、再移植・再々移植を必要とする症例が増えているのが実情である(日本肝移植研究会・肝移植症例報告 移植 2016)。その要因としては、特に肝移植患児においては、アドヒアランス(患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定により治療を受けること)の獲得状況が主に関連すると言われている(Burra Hepatology 2012)。 【目的】長期生存を遂げた肝移植患児に対し、アドヒアランス向上のための小児から成人への移行期支援基盤を確立する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題は、以下の3つである。課題1:野外教育活動を開発し支援体制を完成するために、アドヒアランスを評価し、肝移植患児の日常生活やQOLを測るための評価尺度を検討する。また、海外で行われている小児移植キャンプを視察し、野外教育活動原案を作成する。課題2:野外教育活動を実施し内容や方法を見直し修正する。その成果を評価した上で効果を可視化するために、課題1で検討した尺度を用いて評価する。課題3:開発した野外教育活動の継続を目指し活動を固定化するために、運営基盤を確立する。 平成28年度(2016年)は、①第1回野外教育活動(スノーキャンプ)の学会報告および論文投稿、②第1回と第2回を評価した上で第3回野外教育活動の計画・実施と調査、③平成28年から32年までの研究計画の構築を行った。 実際の野外教育活動の平成26年度(2014年)の第一回目は8名、平成27年度(2015年)の第二回目は13名、平成28年度(2016年)の第三回目は13名、総数延べ34名の研究協力者17名の研究協力者を得た。毎年3月にスノーキャンプを開催し、プロトコールに従い、事前・事後・追跡(1か月後)と3回「IKR評定用紙(簡易版)」とアンケート用紙を用い、調査を行った。 現在(5月)は、第三回目の野外教育活動の追跡調査中である。課題1と課題2を実現すべく、努めている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、課題1と課題2を果たすべく、野外教育活動と調査を継続して行うことと、海外で行われている小児移植キャンプを視察し、我が国における移植患児を対象とした野外教育活動の原案を作成する予定である。また、課題3にとりかかり始める。課題3は、構築した野外教育活動を継続して行くにあたりその運営基盤を確立することを掲げている。平成29年度は、運営基盤を確立するため、他の患者教育活動団体や企業から、関連情報を収集していく予定である。 また、研究期間が5年間あるため、対象者の年齢条件を9歳以上18歳以下としていたが、小児期に移植を受けた9歳以上と修正する必要がある。倫理申請書(看護医療学部と医学部)の修正を行う予定である。
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Causes of Carryover |
海外で行われている小児移植キャンプを視察することを計画していたが、日程的に実行できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、海外(米国・ピッツバーグ)で行われているサマーキャンプを視察する予定である。
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Research Products
(3 results)