2019 Fiscal Year Research-status Report
介護施設の高齢者虐待行為及び不適切なケアに対する予防実践プログラムの開発
Project/Area Number |
16K12197
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
國吉 緑 琉球大学, 医学部, 教授 (80214980)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高齢者虐待 / 高齢者虐待行為 / 不適切な行為 / 不適切なケア / 介護施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は先に行った介護施設従事者の高齢者虐待行為及び不適切なケアの認識と実態の関連について分析を行った。回収された調査票の調査への同意拒否及び無回答を除く614サンプルにおける不適切なケア30項目の認識について5段階評価「わからない」を除き、「虐待だと思う」「不適切な行為と思う」「あまり問題ない行為だと思う」「全く問題ない行為だと思う」に1~4点を付与しスコア化し主因子法による因子分析を行った。その結果6因子(各因子のCronbachα係数0.87~0.65)が抽出された。第1因子:コミュニケーション時の配慮の欠如(9項目)、第2因子:排泄・入浴の際の尊厳の棄損(5項目)、第3因子:食事の際の効率重視の悪影響(4項目)、第4因子:異性職員による対応(2項目)、第5因子:ルール順守の悪影響(7項目)、第6因子:苦痛を与える行為(3項目)と命名した。6因子の内、「異性職員による対応」は、虐待だと認識されている割合が低く、頻度としては高く、一方、「排泄・入浴の際の尊厳の棄損」、「苦痛を与える行為」は虐待だと認識されている割合は高く、現場での頻度は少なかった。属性により、どのような行為を虐待と認識する傾向が強いかを因子得点の平均値でみると、ほとんどの因子で因子得点が高いのは「管理職」「経験年数15年以上」「在籍年数15年以上」などで、低いのは「無資格」「経験年数5年未満」などであった。回収された調査票614の内、不適切なケア30項目の施設内での頻度の問いに対し欠損のない408名の回答を点数化しその平均値により3群に分類した。3群の内訳は平均値2.5以上を「頻度上位」(102名)、平均値2.0以上2.5未満を「頻度中位」(179名)、平均値2.0未満を「頻度下位」(127名)とした。群別における不適切なケア30項目の認識で「虐待だと思う」の割合をみると頻度上位群は他の2群に比べ虐待と思う割合が低い傾向がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
仕事と介護の多忙や自己の体調不良により研究時間の確保が難しく、またフィールド確保等を検討するのに時間を要したため今年度予定していた研究遂行ができなかった。社会情勢をふまえ当初予定していた方法を変更し別の方法で実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果について公表する。また、調査から浮き彫りとなった施設における高齢者虐待行為、不適切な行為・不適切なケアの実態に対する意見や、その対策・予防等について一般市民を対象にグループインタビューもしくは個別インタビューを行う。また施設内高齢者虐待防止に関する教育プログラム、実践教育としてのシミュレーション教育等についての資料収集を行い、これまでの研究成果と融合し施設における高齢者虐待や不適切なケアに対する予防実践プログラムへの示唆を得る。
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Causes of Carryover |
(理由)仕事と介護の多忙や自己の体調不良のため研究時間の確保が困難であったことや、フィールド確保等を検討するのに時間を要したため、予定していた研究が遂行できなかったためである。 (使用計画)繰越金は前年度の計画を遂行するために必要なもので、その遂行に使用する。
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