2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K12198
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 真澄 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (80315522)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟生田 友子 獨協医科大学, 看護学部, 教授 (50150909)
道信 良子 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (70336410)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | せん妄 / 質評価指標 / 入院患者 / 家族 / ケアの体験 / ケアの質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトは、入院患者のせん妄の予防や発症時の対応に関する組織的な取り組み効果をケアのプロセスに沿った評価およびケアを受けた患者と家族の視点から包括的に評価するせん妄ケアの質評価指標の開発をめざす。前年度のせん妄患者の体験に関する先行文献の検討を経て、今年度は、せん妄リスクのある患者が受けるケアの体験を記述する質的記述的研究に取り組んだ。 質的記述的研究においては、患者、家族、看護師の3方向から捉えたものを統合することを目標とし、2018年3月末までに7名のせん妄リスクのある患者のケア場面の参加観察を行った。対象患者は、60代後半~80代前半の男性5名、女性2名であり、入院中にせん妄を発症した者は5名であった。参加観察を行った対象看護師の臨床経験年数は5~28年であった。参加観察は対象看護師が対象患者にバイタルサインの測定などの看護観察や清拭、口腔ケア、離床、移動などの日常生活援助、検査前の処置等を行っている場面に研究者が同行し、1事例につき90~270分の参加観察を行なった。対象看護師へのインタビューは、参加観察のフィールドノートをまとめ要約したものを提示しながら、インタビューガイドに沿って実施した。現在、のべ7名の看護師のインタビュー逐語録と参加観察場面のフィールドノートをデータとして分析を進めているところである。また対象患者へのインタビューは1名、家族へのインタビューは2名の協力が得られ、今後分析を行っていく。 認知症の家族会の会員等を対象にせん妄に関する講座を1回開催し、約20名の参加を得た。一般市民において「せん妄」は未だ馴染みのない病態であり、入院中の家族が突然にせん妄と言われパニックになったという経験も聞かれ、一般市民への啓発の必要性を再認識した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度取り組んだ質的記述的研究においてデータ収集は、①対象条件に合致する患者の入院、②対象看護師の勤務予定、③データ収集を行う研究者の3者の予定を調整する必要があり、条件に合致する対象患者がいても、対象看護師の勤務や研究者の調整がつかずデータ収集できないケースもあった。そのため、当初の予定よりもデータ収集に時間を要している。また一般市民向けのせん妄の予防、啓発に関するホームページの開設も未着手なことから、当初の計画よりやや遅れていると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、質的記述的研究のデータ収集および分析と並行して、先行研究の文献検討結果から質評価指標案の作成を進める。また、家族会などの協力を仰ぎながら、一般市民のニーズに沿ったせん妄の予防、啓発に関するホームページコンテンツを確定する。
|
Causes of Carryover |
質的記述的研究のデータ収集の遅れにより、データ収集にかかる交通費、学会発表旅費等の未使用が生じた。また、一般市民向けのホームページ開設の遅れにより、次年度への繰越金が生じた。平成30年度は追加のデータ収集施設およびデータ収集支援者を確保するとともに、質評価指標案の作成を並行して進め、ホームページ開設を速やかに行う。
|