2019 Fiscal Year Research-status Report
車椅子適合支援の効果がケア向上にもたらす役割についての研究
Project/Area Number |
16K12214
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
関川 伸哉 東北福祉大学, 総合福祉学部, 教授 (60326717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
昆 恵介 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (30453252)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 車椅子適合支援 / 効果測定 / 高齢者座位姿勢 / 高齢者の車椅子 / 開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
4年目の今年度は,主に以下に示す3つの方向性から研究を実施した. 一つ目は,昨年度10名の被検者を対象に実施した”車椅子座位姿勢の違い(良姿勢と不良姿勢)による身体ストレスに関する本実験(健常者対象)“のデータ処理を行い,論文としてまとめた.論文は,「車椅子不良座位姿勢と身体的ストレスの関係性に関する研究」として投稿・査読受理済みで,掲載号は36巻3号(2020年7月号)を予定している. 二つ目は,車椅子適合支援(臨床介入)を2施設各1回/月の合計12回×2施設=24回行った.高齢者福祉施設での臨床介入を通して,昨年度同様に車椅子適合支援の効果検証及び評価を多角的に実施した.昨年度の59名から更に20名増の79名の評価結果について分析を進めている.また,昨年度開発した次世代型高齢者車椅子PS-1Design-Bの臨床評価を合計9名に実施した(2018年度実施含む). 三つ目は,最終年度に向けて今後全国の高齢者福祉施設を中心に使用可能な量産型PS・1の開発最終段階作業を進行させた.PS・1Design-Bをベースに今年度は,プロのデザイナーを交えながら複数回にわたる会議,図面等の作成を行った.開発段階では,14項目の条件を満たす仕様を目的に開発を進めた.具体的には55名の臨床評価結果をもとに7項目,身体寸法値を踏まえた統計的サイズ値の決定3項目,量産を踏まえた改良4項目とした.尚,量産型に向けて開発されたPS・1Design-Bについては論文としてまとめて既に投稿済み(査読中)である.量産型PS・1は,2020年1月に試作機が完成し臨床評価データ処理後に第一回目の中間報告会議を実施した.しかし,新型コロナウイルスの影響で,今後の作業が大幅に遅れているのが現状である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一つ目は,車椅子座位姿勢(車椅子の身体適合の違いによる良姿勢と不良姿勢)の違いが,対象者の快適性(ストレスや疲労感の有無)にもたらす影響について論文投稿受理された.論文では,車椅子座位時の不良姿勢が身体に及ぼす影響について主に自律神経活動の指標から分析を行った.10名(男女各5名)の健常者を対象に異なる座位姿勢での計測を行った.評価パラメータには,心拍,心拍変動,アミラーゼ活性値,フリッカー値,NRS,座面接触面積,座圧を用いた.座位姿勢の違いによる座面接触面積と左右座圧の最大値及びNRS結果から,臨床上考える車椅子座位時の不良姿勢は再現されていた.また,その際の臀部へのリスク及び痛みに対する精神的負担を定量的に明らかにすることができた.しかし,自律神経活動への影響は,不良姿勢の際に交感神経活動が高まる傾向がみられたが,その他のパラメータからは,明らかな違いはみられなかった. 二つ目は,高齢者福祉施設での臨床介入を通して,車椅子適合支援の効果検証及び評価を多角的に実施した(継続研究成果).臨床介入の回数を,昨年同様に24回実施した.ストレス,心理的負担,快適性に関する客観的な評価は,倫理的配慮等の課題から車椅子利用高齢者を対象とした検証には至っていない.しかし,臨床介入を通して,車椅子適合支援の有用性と効果についてストレス・心理的負担等を含めて,その効果と役割が認識されている.昨年度開始した臨床現場主催の勉強会は,新型コロナウイルウイルスの影響で開催延期となっている. 三つ目は,次世代型高齢者車椅子PS-1Design-Bをベースにデザイン性を大幅に向上させた量産型PS・1の開発をスタートさせた.今後も定期的に,県内の車椅子事業所とのミーテイングを行い開発・改良を進め,次年度完成・量産開始を目標に作業を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
5年目の最終年度においては,4年間の実施結果を踏まえて主に以下に示す2点について重点的に研究を進めることとする. 一つ目は,本研究のメインテーマである「車椅子適合支援の効果がケア向上にもたらす役割」を明らかにするために,車椅子適合支援の効果検証及び評価を多角的に分析し,可能な限り定量的に結果を示したい.また,それらの結果は,高齢者介護に関わる方々にとって有益なものであり,かつ車椅子適合支援実施の根拠資料(実施動機)となるものであることが望まれる. 二つ目は,次世代型高齢者車椅子PS-1Design-Bをベースにデザイン性を大幅に向上させた量産型PS・1の完成・量産開始を目指して作業を進める予定である.車椅子適合支援の効果がケアにもたらす役割が客観的に明らかにされ,そのために使用可能な車椅子が完成することではじめて,高齢者介護の質の改善がはかられると考える.最終年度は,上記二つの作業を中心に実施する予定である.尚,臨床介入,論文作成に関しては,引き続き実施予定である.
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Causes of Carryover |
次年度は,650,000円(内150,000円は間接経費)の請求を行っており概ね当初の予定通りに計画が進んでいる. (使用計画) 今年度は,昨年度の残金を含め予定通りに計画を進行する予定である.
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Research Products
(1 results)