2016 Fiscal Year Research-status Report
地域医療福祉連携における音楽運動療法視聴覚教材を活用した教育指導法の開発と評価
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16K12219
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
小口 江美子 昭和大学, 保健医療学部, 教授 (50102380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 祐二 昭和大学, 薬学部, 教授 (50204821)
田中 一正 昭和大学, 教養部, 教授 (70217016)
小倉 浩 昭和大学, 教養部, 准教授 (40214100)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域医療福祉連携教育 / 高齢者 / 医療系学生 / 音楽運動療法 / コミュニケーション / 福祉施設 / 介護スタッフ |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な状態の人をケアする介護福祉施設や介護予防活動現場において、研究代表者が開発した音楽運動療法視聴覚教材が、医療系学生の高齢者への理解力の向上や、高齢者とのコミュニケーション能力の向上等、地域医療福祉連携教育においてどのように効果的に活用することができるのか検討することを目的とした。 今年度はDVD教材を活用して手洗いの方法を習得した学生が、高齢者介護施設で手洗い体操のパフォーマンスを実施し、どの程度学生のコミュニケーション能力向上に寄与するか、介護スタッフとの関係性にどう影響するのかを検討した。 (1) 医療系1年次の学生が、研究代表者により開発された音楽運動療法視聴覚教材を自主学習に使用して手洗いの方法を習得する。学生は初年次体験実習訪問先施設で、手洗い体操を高齢者に披露することで、高齢者とのコミュニケーションや相互理解に繋げる。 (2)初年次体験実習前後において、学生に対して、地域医療福祉連携の意識調査を行い、教材活用による学習効果および高齢者への理解度やコミュニケーション能力について検討した。 その結果、高齢者に対する印象についてのアンケート調査では「笑顔」「明るい」等のポジティブなキーワードが実習後に有意に増えたことから、手洗い体操の実施によって、高齢者がにこやかになり、学生との円滑なコミュニケーションが促進されたことが推測された。施設のスタッフに対する印象に関しては「明るい」「元気」「声が大きい」「積極的」「楽しそう」が実習後に有意に増加した。手洗い体操の実施は、スタッフの言動にもポジティブな効果をもたらしたものと思われる。 これらの結果から、研究代表者が開発作成した音楽運動療法視聴覚教材による学生の手洗い体操の実施は、施設の高齢者を快活にするとともに、実習を行う学生との円滑なコミュニケーションを促進するための良いツールになる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の当初の計画は以下の通りである。 (1) 教材活用についての医療系学生への説明と教材活用による自己学習指導:本校の医療系1年次学生に研究代表者が開発した音楽運動療法プログラムに基づく視聴覚教材の活用方法について文章および口頭で説明を行い、学生はその後視聴覚教材を活用して自己学習する。学生は初年次体験実習の訪問施設で、自己学習した成果を現場の高齢者に披露もしくは実際のリハビリ体操として役立てる。つまり若年者と高齢者のコミュニケーション向上のツールとして教材を役立てる。 (2) 体験実習先施設での高齢者との関わり方についてのアンケート調査と自己評価 医療系学生に、初年次体験実習施設訪問前後において、地域医療福祉連携の意識調査を行い、教材活用による自己学習意欲や学習効果および高齢者への理解度やコミュニケーション能力を検討する。加えて利用高齢者に満足度やQOLに関するアンケート調査を行い、教材活用に基づくリハビリ体操実施による心身への自覚的効果を検討する。 以上の計画において、学生に対する調査は順調で予定通りに進んだ。施設利用高齢者は予想よりも介護度が高く、1回の学生実習により意識調査を実施できる状態ではなかったことからアンケート調査には至らなかった。しかし学生が実習中に手洗い体操を披露したことや、実習先で高齢者とのコミュニケーションがより円滑に進むよう、グループ単位で工夫や努力をした結果、高齢者は笑顔等のノンバーバルコミュニケーションにより満足の様子を学生に伝えることができた。学生はそれを十分に理解し、学生へのアンケート調査に反映されたので、学生へのアンケート調査だけでも、音楽運動療法視聴覚教材を起用しての教育効果の判定は、十分に分析可能であったと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者が開発した音楽運動療法視聴覚教材が、医療系学生の高齢者への理解力の向上や、高齢者とのコミュニケーション能力の向上等、地域医療福祉連携教育においてどのように効果的に活用することができるのか検討した結果、視聴覚教材により自主学習した学生の手洗い体操の高齢者介護施設での実施は、施設の高齢者を快活にするとともに、実習を行う学生との円滑なコミュニケーションを促進するための良いツールになる可能性が示された。 今後は、実習先の各施設において、研究説明を行い、研究参加協力施設を募る。実習時のみならず、年間を通じて音楽運動療法視聴覚教材を利用して、感染予防や機能維持・機能改善プログラムを実施する施設の、多職種からなる介護福祉スタッフの研究協力を得て、音楽運動療法プログラム継続実施による高齢利用者への実際の効果を検討し、さらに多職種からなる介護スタッフの意識の変化について検討する。 具体的な方法は、介護スタッフや機能訓練担当スタッフに、音楽運動療法継続実施に関するアンケート調査を実施し、音楽運動療法視聴覚教材の活用頻度や音楽運動療法プログラムの実施状況、それによる高齢者への効果、介護スタッフの自己学習意欲と学習効果などについて評価する。
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Causes of Carryover |
高齢者施設訪問の際に作成したDVDを、増版コピーして配布したが、その費用が少額で予算を大幅に下回った。今年度の調査は、主にアンケート調査だったため、調査にかかわる費用が予定よりも少額となった。現地調査は、現地スタッフにより行われたため旅費はかからなかった。以上の理由から、予算を下回ったものと思われる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に学生実習先の高齢者施設に配布したDVDを、現場のニーズに応えて改訂する予定があるので、そのための費用に充てる予定である。また、現場スタッフのみならず、昭和大学本校からも学生の教育実習に赴くことを予定しているので、旅費等に充当する予定である。
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Research Products
(4 results)