2016 Fiscal Year Research-status Report
地域在住高齢者に対する音や匂い刺激を用いた新たな手法の回想法の有効性
Project/Area Number |
16K12224
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
梅本 充子 日本福祉大学, 看護学部, 准教授 (50410692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 朱美 山梨県立大学, 人間福祉学部, 教授 (60410693)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者 / 地域在住 / 介護予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、一般的回想法の実践を行い、認知症予防のみならず、QOLの向上や抑うつ、回想法参加後の自主活動グループへの発展、および介護予防を目的に研究を行なった。 地域在住の65歳以上の女性高齢者12名を対象に週1回、1時間のグループ回想法を計8回行なった。 調査結果では、認知機能検査(SKT)における記憶力(想起された間違いの数)において改善がみられ有意差(5%水準)が得られた。QOL(SF8)については、前後比較においていずれの項目も平均値による改善は見られるものの有意差は、得られなかった。うつ尺度(GDS15)においても、有意差は得られなかった。セッション評価では、短期効果を検証し、1回目初回と8回目最終回を比較し「喜び・楽しみなどの満足度」、「回想・発言内容の質」、「対人コミュニケーション」、「参加意欲・積極性」、「回想内容の発展性」すべてに全5項目に改善があり、有意差(1%水準)がみられた。個別では、2名の参加者において、「参加意欲・積極性」 や「喜び・楽しみなどの満足度」が高まり大きな変化が見られた。 本研究の参加者では、喪失体験(配偶者の死)3名や独居高齢者が多く参加した。MCIとみられる高齢者1名は、記憶力(MMSE25点,SKT)が、2点から1点へ、抑うつ傾向GDS15)の高齢者1名は、9点から3点へに改善するなどグループ全体以外にも個別に効果が得られた。最終グループ全体のまとまりや積極的な交流が見られ、現在1ヶ月に1回集まり、料理を作りや様々な活動を行なっているという成果が得られた。またイギリスの回想法センターに出張した。高齢者との回想法セッションに参加してあらたな活動内容について学ぶことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、回想法の実践が、認知症予防のみならず、QOLの向上や回想法参加後の自主活動グループへの発展、および介護予防を目的に研究を行なった。 今回、介入群に加え、非介入群の12名(男4名女8名)設定を行い調査を行なった。しかし男女比や健康度のマッチングうまくいかず、介入群との比較が難しい状況である。自治体の公募に対して多くの参加者が集まらず、両群のマッチングができなかった。平成29年度は、介入群を非介入群にマッチさせて調査を行い比較できるように行なう予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、同じく半田市において音を刺激とする回想法あるいは、匂いを用いた回想法を実施する予定である。調査項目は同じであるが、平成28年度のグループマッチングの問題をクリアすることが課題である。また生理的指標を使った調査を加えることや匂いの精油作成を専門家に依頼するため、打ち合わせを密にしたいと考える。また現在量的研究がメインになっているが、質的研究も行なっていきたいと考える。
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Causes of Carryover |
イギリス回想法センターへの海外出張の交通費未払い
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
イギリス回想法センターへの海外出張の交通費未払い分の支出 今後、日本早期認知症学会への学会発表に係る参加費、旅費や同学会誌投稿料を使用する予定である。
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