2017 Fiscal Year Research-status Report
地域在住高齢者に対する音や匂い刺激を用いた新たな手法の回想法の有効性
Project/Area Number |
16K12224
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
梅本 充子 日本福祉大学, 看護学部, 准教授 (50410692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 朱美 山梨県立大学, 人間福祉学部, 教授 (60410693)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域在住高齢者 / 回想法 / 健康支援 / 介護予防 / 音 / アクティビティ / 自主活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、健康支援・認知症予防の観点から、地域在住高齢者65歳以上を対象とした音刺激を用いた回想法を実施した。本研究では、テーマ毎の懐かしい音の思い出を素材に、参加者がその場面を絵に描くという回想ワークのアクテビティを行なった。最終回は、絵をパソコンに取り込み、絵の中の画面をクリックすると音が鳴る「音地図」を作製し、回想法の手段としての有効性を検証するものである。また本研究は、回想法の実践が、健康支援のみならず介護予防や回想法参加後の自主活動グループへの発展を目的に研究を行なった。 地域在住の65歳以上の女性高齢者9名を対象に週1回、1時間の計8回行なった。調査結果では、抑うつ傾向(GDS15)においては、介入前後で有意差(5%水準)が得られ改善がみられた。介入後1ヵ月前(A)(3.5±3・46)介入直前(B)、平均±標準偏差(3.12±3.18)から介入直後(C)(2.0±2.97)へ、に改善した。 認知機能のSKTでは、有意な結果は得られなかった。QOL(SF8)については、前後比較においていずれの項目も平均値による改善は見られるものの有意差は、得られなかった。セッション評価では、短期効果を検証し、初回と最終回を比較し「喜び・楽しみなどの満足度」、「対人コミュニケーション」、「参加意欲・積極性」、「回想内容の発展性」4項目に有意差(5%水準)がみられた。 グループでの積極的な交流も見られ、大きな変化が見られた。 本研究の参加者では、独居高齢者が多く参加した。MCIとみられる高齢者1名(MMSE26点,SKT(総合得点3点から1点へ)に改善するなど個別にも効果が得られた。 これらのことから、抑うつ傾向の改善、個別的な認知機能の改善、自主活動グループへの発展など健康支援や介護予防につながる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
29年度は、匂い刺激を用いた回想法を実施予定であったが、匂いの精油依頼ができず、30年度に予定していた音刺激の回想法を実施した。しかし、音刺激と匂い刺激の順番性には問題なく、実施できた。 本研究では、回想法にアクティビティ的要素を取り入れ、テーマ毎の懐かしい音の思い出を素材に、参加者がその場面を絵に描き、最終回は、絵をパソコンに取り込み、絵の中の画面をクリックすると音が鳴る「音地図」を作製した。アクティビティを取り入れることで、仲間の形成や主体的な活動につながり、セッション評価や抑うつ傾向 の改善、介護予防としての回想法の効果が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度は、匂い刺激を用いた回想法を実施予定である。匂いの精油依頼ができ、順調に実施予定である。 今後、匂い刺激を用いた回想法を実施することで、介護予防を目的としたアクティビティとしての回想法効果を研究することで、地域在住高齢者の心身の健康支援のみならず、社会参加や自主活動を視野に入れた包括的支援につながり期待される。
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Causes of Carryover |
理由としては、業務上、教務の都合により、学会発表や海外出張による中止のため。 使用計画は、次年度、海外出張費用に当てる予定である。
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