2016 Fiscal Year Research-status Report
虚弱高齢者の転倒予防・移動能力の維持向上を目的とした足指機能への介入効果の検証
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16K12231
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
大田尾 浩 西九州大学, リハビリテーション学部, 准教授 (00441345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 伸 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (00389503)
八谷 瑞紀 西九州大学, リハビリテーション学部, 講師(移行) (60610970)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者 / 足指機能 / 転倒 / バランス能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
足指機能は、高齢者のバランス能力や転倒予防において重要な要因のひとつである。足指筋力を実際に測定してみると、外反母趾のような足指の変形が原因で計測を実施できないことを経験する。この足指機能を測定できない原因は、測定器の構造にあると考えた。足指機能は、日常で観察される動きに近い方法で捉えることが望ましい。姿勢を保持するときに、足指は床面に押し付けられる。この床面に押し付ける力を計測できる測定器を「ひずみゲージ」を用いて開発した。これまで、計測の対象外とされてきた足指に変形がある者や足指の巧緻性が低下した者でも、足指機能を計測することが可能となった。 次に、若年者や健常な高齢者を対象に、信頼性と妥当性が確保される測定方法を検討した。新たに開発した測定器は、プレートに荷重される圧をセンサーで捉えて電圧で感知する方法を採用している。このことから、プレートに体重を負荷すると測定値が増加してしまう。値には、足指筋力ではない要素が含まれてしまう。そこで、測定姿位は座位とし、体幹を前後に動かさずに実施することとした。測定値は、高い再現性が得られ(ICC1,1=0.87-0.94)、系統誤差の存在は確認されなかった。測定誤差の程度(MDC95=3.3)も、臨床応用可能な範囲であることが確認された。 また、地域在住高齢者の足指機能と、過去一年間の転倒経験との関係を調査した。転倒あり群の足指圧迫力は、転倒なし群よりも低下していた。最大値に到達する時間も、転倒あり群の方が転倒なし群よりも遅延していた。さらに、転倒あり群は、筋力発揮時や脱力時に測定値が上下に乱れて安定しなった。対して、転倒なし群の測定値は、滑らかに筋力を発揮し、また脱力も滑らかであった。足指機能は、地域在住高齢者の転倒と関わりがあることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書の計画通りに研究は進行している。測定器の開発、測定方法の検討と信頼性の確認、測定誤差の程度の検証が済んだ。また、2年目の計画であったバランス能力および転倒経験との関連についての研究にも着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って、慎重に研究を進めていきたい。また、研究メンバーと進捗状況を確認しながら実施していく。
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Causes of Carryover |
購入予定であった計測機器の分析用のパソコンをまだ購入していないことや、購入した機器や出張旅費を安価に抑えられたことが理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
申請した研究計画通りに、研究の進捗状況に応じ、計測機器の購入や研究打ち合わせの出張旅費、成果発表に必要な経費を順次を申請する予定である。
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