2018 Fiscal Year Research-status Report
精油を用いたハンドマッサージを精神看護に導入する効果と課題
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16K12242
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小森 照久 三重大学, 医学系研究科, 教授 (40178380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 三佳 三重大学, 医学系研究科, 教授 (30279997)
児玉 豊彦 産業医科大学, 産業保健学部, 講師 (10549166)
田村 裕子 三重大学, 医学系研究科, 助教 (30746722)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アロマハンドマッサージ / 看護技術 / 気分 / 交感神経 / 副交感神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
アロマハンドマッサージを看護技術にしていくため、精神科病棟における実践を開始した。アロマハンドマッサージの手技をより簡便にして実践を容易にすることによって、一般の看護師でも容易に実践でき、施術の間に被験者とのコミュニケーションをとりやすくすることが看護技術として定着するためには必要であると考えられることから、アロマハンドマッサージの効果を保ちながら、手技を簡略化する方法を29年度に検討した。30年度には、この結果に基づいて、より簡略化した手技でアロマハンドマッサージの看護実践を実施した。 その結果、54名の精神科入院患者に対してアロマハンドマッサージを実施した。施術前後の日本語版POMS(Profile of Mood States )の結果では、「緊張‐不安」、「抑うつ‐落ち込み」、「活気」の項目及び合計点で有意に気分を改善することが認められ、簡略化したアロマハンドマッサージによるリラックス効果が実践でも認められた。しかし、心電図測定による交感神経機能や副交感神経機能の測定は、その煩雑さから実施できたのは施術例全体の3分の1程度にとどまった。 5名の看護師が施術を行った。彼らに対するインタビューの結果では、患者とのコミニュケーションの改善にアロマハンドマッサージは有用で、患者の不安の軽減を現実的に行うことができるツールとして看護技術としての有用性が語られている。さらに、その結果として、患者―看護師関係の発展のためのツールとしての効果が実感されている。一方で、看護業務の中で行う限界として、時間の確保が困難、場所の確保が難しい、準備に時間がかかるなどの意見がみられた。 アロマハンドマッサージを看護技術にしていくにはまだ解決すべき課題があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
健常者を対象としてアロマハンドマッサージの手技の簡略化を検討し、この手技を精神科入院患者を対象として実践を行っている。5人の看護師が施術を行い、50名以上の患者に対してアロマハンドマッサージを行った。 自律神経機能の測定は煩雑であるため実施できないことが多く、患者のリラックス効果の客観的指標が不足している。 施術側では看護のツールとして有用であるとの意見がある一方で、時間や場所の確保が難しいなどの意見もあり、アロマハンドマッサージを看護技術としていくにはなお検討すべき課題がり、研究期間を1年延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
アロマハンドマッサージを精神科看護の現場で実践し、施術を受けた患者のリラックス効果を自律神経機能などの客観的指標で評価し、施術を行った看護師の評価をまとめることを目的としているが、患者に関して客観的指標のデータが不足し、看護師からは看護技術としていくための課題が挙げられている。 患者の客観的指標として自律神経機能の測定を実施できるように、測定技術の一層の習熟を図る。日本語版POMS(Profile of Mood States )や唾液中アミラーゼの測定は比較的簡便であり、少なくともこれらは実施する。 看護師のアロマハンドマッサージの施術を一層習熟させるとともに、どのような時間と場面でアロマハンドマッサージを導入しやすいかを検討し、アロマハンドマッサージが看護技術として定着するための方法をさらに検討する。
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Causes of Carryover |
患者のリラックスの程度を示す自律神経機能などの客観データをさらに蓄積することと、アロマハンドマッサージを看護技術にするための課題を解決するための方法を検討する必要があり、研究期間を1年延長したため。
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Research Products
(1 results)