2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of multicultural comprehensive home care support model for foreign elderly living in Japan
Project/Area Number |
16K12258
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
李 錦純 関西医科大学, 看護学部, 准教授 (60584191)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 在日外国人 / 高齢者 / 多文化共生 / 在宅ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多文化共生の観点から、在宅要介護の外国人高齢者への包括的な在宅ケア支援モデルを開発することを目的としている。今年度は期間延長による最終年度にあたり、これまでの研究成果をふまえて、必要に応じて追加の情報収集と分析結果の精緻化を進めた。事例分析について、訪問看護ステーションを利用しているアメリカ出身の医療的ケアが必要な事例および、インド出身の終末期ケアの事例について、追加でデータ収集し分析を重ねた。各事例の分析から得た、(1)同文化・言語の接触による心の安寧、(2)介護保険制度の理解を促す持続的工夫、(3)多職種連携による共通理解とケアの統一、(4)言葉によらないツールを用いたコミュニケーションの工夫、(5)通訳対応可能な社会資源の発掘と活用、(6)特有の葬送儀礼文化に対する理解に加えて、死生観の違いや出身国在住の親族との強固なつながり、清潔ケアへのとらえ方の相違、経済格差による在宅ケアへのとらえ方の相違もあり、出身国の文化的背景や言語だけでなく、ライフコースや移住歴、家族関係や経済状況など、個別の社会経済的背景にも配慮が必要であることが明らかになった。在宅要介護の在日外国人への包括的な在宅ケア支援において、上記要素を取り入れて、在宅ケア支援モデルの素案を作成した上で、在日外国人の高齢者支援を展開している通所介護事業所における研修会を実施し、一部事業所において試行を行った。支援モデル案の適用が実践の状況に即しているかを、現場の実践家との討議により評価し適用可能な形に修正を施している段階である。研究成果の一部については、著書および学会発表、講演、多文化関連の研究会の場で発信した。今後は、本研究成果の一般化に向けて、実践試行と評価を進めながら実績を蓄積していき、さらなる発展を目指していきたい。
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