2018 Fiscal Year Research-status Report
看護診断を基盤とした在宅用標準看護計画の策定およびその有用性の検証
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16K12259
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Research Institution | Tenri Health Care University |
Principal Investigator |
奥田 眞紀子 天理医療大学, 医療学部, 准教授 (00390211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 麻美 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00574922)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 訪問看護師の着目点 / 可視化 / 看護診断名 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の課題は、調査結果を踏まえ、 【1】訪問看護ステーションにおける「看護診断使用の効果を明らかにする」「看護診断不使用の理由を明らかにする」 【2】訪問看護師が着目している点の可視化の方法の一つとして、訪問看護師が挙げる看護課題の内容を分析することであった。方法として、看護診断を使用している訪問看護ステーションとしていないステーションの看護課題の内容を合致させるため、研究代表者と研究協力者6名[内訳:訪問看護ステーションの所長2名、主任3名、退院調整看護師1名(合計6名のうち訪問看護認定資格を持つ看護師3名)]それぞれが、看護診断名を使用していない訪問看護ステーションに対し行った看護課題の記述を読み込み看護診断名に変換した。それらを持ち寄り、合議の上、看護診断名を確定する検討を行った。 【結果1】訪問看護ステーションで統一して看護診断を使用している事業所(N=60)は、西日本で38ステーション、東日本で22であった。*看護診断使用の効果は、高いものから順に・個別性のある計画を立案する意識が高まった(2.82点/4点中)・関連因子、危険因子の明記で個別性が見える(2.82点/4点中)・看護師のアセスメント能力が向上した(2.74点/4点中)等であった。*看護診断不使用の理由は、高いものから順に・他職種との共通言語になっていない(3.30点/4点中)・看護診断名の表現が難しい(3.30点/4点中)・看護診断導入体制が整わない(3.29点/4点中)等であった。 【結果2】使用頻度の高い看護診断名と看護課題から抽出した看護診断名を合致させた結果、本調査において訪問看護ステーションで使用頻度の高い看護診断は、「非効果的健康管理」「便秘」「介護者役割緊張」「皮膚統合性障害」「転倒転落リスク状態」「不安」「誤嚥リスク状態」「感染リスク状態」「安楽障害」「褥瘡リスク状態」であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査実施後、その二次研究として、自由記述で看護課題を問いかけた内容を看護診断名に転換する検討を行った。その方法として他者の意見に左右されない形の個人ワークを経て、基本的には多数決ではあるが、一つ一つの課題に対して検討を行った。741の課題に対して、計8回の研究会を開催し検討したが、この作業に時間を要したため、報告書、論文作成が遅延していると考えている。 また、研究結果の公表をホームページ上で行うことの実施が滞っているが、すべての結果が揃ってからということではなく、随時公表することとし、速やかに取り組む必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後残された研究課題は以下の4点である。 【1】調査結果より、訪問看護において課題と捉え、着目している点については明らかとなった。しかしながら、その内容は、看護診断名として捉えた内容であるため、一つの看護診断名に生じている事象を検討し、その多様性が関連する因子で対応できるものか、看護診断名の使用には課題があるのか、について明らかにしていく。 【2】看護課題として多く掲げられている事象を表現した看護診断名に対する標準看護計画を追加、策定する。主には「非効果的健康管理」「不安」等が考えられる。 【3】調査結果を根拠として、以下の3点を明確にしていく。 ①訪問看護において生じている看護の課題を言語化し、可視化すること。②看護課題の表現方法の妥当性を分析し、その示し方が理解できる思考過程を検討すること。(看護診断名を使用する場合と不使用の場合を比較して) 【4】全ての研究結果をふまえて、在宅用標準看護計画の妥当性を考察し、その考え方、効果的な使用方法について検討し、公表する。
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Causes of Carryover |
研究結果の公表のためのホームページの作成、維持費として予算計上していたが、その実施滞っており。その費用が未使用となっている。速やかに作成に取り組む計画である。
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