2018 Fiscal Year Research-status Report
単身及び夫婦のみ世帯高齢者の介護保険への移行を予防するコーチングプログラムの開発
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16K12306
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
大橋 純子 京都府立医科大学, 医学部, 准教授 (90618167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桂 敏樹 京都大学, 医学研究科, 教授 (00194796)
吾妻 知美 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (90295387)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高齢者 / コーチングプログラム / 主観的QOL / 介入研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢者の健康にストレスや主観的QOLが関連していることに着目し、開発した健康プログラムを介護保険の認定を受けていない65歳以上の方を対象に無作為化比較試験を行い、プログラムの有効性を検討することである。 当該年度は、昨年度までに実施した一群比較試験の結果を踏まえ改良したプログラムを用い無作為化比較試験を行った。通常生活を送るコントロール群とプログラムを受ける介入群の2群に無作為に均等に振り分け、介入直後、3ヵ月後、6ヵ月後の評価指標の変化の比較を行った。評価指標には、主観的QOLの評価尺度であるPGC(Philadelphia Geriatric Center Morale Scale)スケールを、主観的健康度を評価するGHQ(General Health Questionnaire)スケールを使用した。プログラムの基礎は、主体的な行動を促す理論として広く活用されているストレスとコーピング理論および社会的認知理論を用いた。内容は、自己の人生の振り返りをとおして、人生の充実感や満足感を高める方法を見つけ出す作業や自己目標および自己価値を明確する作業を中心とした。1回90分の教室を4回行った。 その結果、研究への参加者は60名で、介入群30名のうち、途中病気により脱落者が1名あった。介入群において、コントロール群と比較しPGCスケールで P<0.003、GHQスケールで P<0.049の有意な改善がみられた。PGCスケールの下位因子では、「老いに対する態度」と「孤独感不安感」に有意な改善がみられた。さらに評価指標の改善は、3ヵ月後、6ヵ月後まで継続していた。 これら結果より、開発したプログラムによって、高齢者の主観的QOLと健康度を高める一定の効果が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに本研究の目的である無作為化比較試験を実施し、プログラムの一定の効果を確認し論文を国際誌に投稿中である。質的データから当初の予定以上の結果が得られたため、研究期間の延長を行い詳細な分析を行うことで、プログラムの精度を高めることとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに取集している質的データの詳細な分析をすすめ、高齢者の健康管理に寄与する健康維持プログラムの開発を行っていく。
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Causes of Carryover |
今年度は無作為化比較試験を行い、作成したプログラムの有効性について確認を行い、国際誌に投稿中である。データの分析過程において、年代により心理的変化が異なることが示唆された。年代別にプログラムの特徴を論じることで、より精緻なプログラムにすることができるため、論文投稿費用として次年度に繰り越し、詳細なデータ分析および論文作成、投稿を予定しいる。
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Research Products
(2 results)