2017 Fiscal Year Research-status Report
回復期脳卒中患者の就労支援ケア・パッケージの構築 自己像の再構築を焦点に
Project/Area Number |
16K12320
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Research Institution | Yokohama Soei University |
Principal Investigator |
山口 智美 横浜創英大学, 看護学部, 准教授 (40613279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 喜道 神奈川工科大学, 創造工学部, 教授 (10329302)
奥宮 暁子 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (20152431)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 回復期 / 脳卒中患者 / 就労支援 / ケアパッケージ / 自己像 / 再構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.自己像の再構築に焦点をあてた回復期脳卒中患者への就労支援ケアパッケージを検討するために、再就労(予定含)の脳卒中患者の自己像の再構築への心理過程と再構築への支援内容・必要と思う支援について、患者9名と研究協力機関の2病院の専門職15名(リハビリ科医師3名、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・臨床心理士・ソーシャルワーカーは各2名、回復期リハ病棟看護師1名、職能科1名)にインタビューを実施した。結果、患者では障害者となった自分の自己像の再構築のために、①回復期リハ病棟入院中に患者同士での話をできる機会がほしい(ピアサポート体制)、②就労している患者との交流が必要、自分の心身状況を理解し就労準備ができるために、ア)リハビリの中で就労について相談でき、適切なアドバイスがもらえる、イ)退院後に利用できる就労支援機関の紹介・病院との連携、ウ)退院後に就労に向けて自分が取り組むべき内容や時期の見通しをつけてほしい等が明らかとなった。専門職では、a自己像の再構築には患者自身の性格・家族や会社からの支援が関係している、b回復期リハ病棟入院中に具体的な就労支援は診療報酬の関係から実施が難しいが、患者の自己像の再構築への支援は必要であると思っていることが明らかになった。 2. 年度末に自己像の再構築に焦点をあてた回復期脳卒中患者への就労支援ケアパッケージ作成委員会の第1回目を開催した。結果、対象は身体障害のみ・軽度~中等度の高次脳機能障害があり身体障害がある方とし、適用期間は回復期リハ入院時~発症後6カ月までとすることとした。自己像の再構築への支援内容は、患者交流会、先輩患者(就労中)との交流、入院時から障害(後遺症)や就労への思いの把握,必要な情報提供,患者・家族への勤務先との連絡へのアドバイス,入院中からの退院後の関係機関との連携とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度(H28年度)のインタビュー調査の開始が遅れ、H29年度に調査(患者9名、専門職15名)を継続して実施し、終了がH30年1月となったため、調査結果から検討する就労支援ケアパッケージの作成が遅れた。 回復期脳卒中患者の自己像の再構築への支援に焦点をあてた就労支援ケアパッケージ作成委員会(以下、委員会と略す)の委員選定(研究協力機関に依頼)に1か月程度かかり、また第1回の委員会が年度末となった。1回目の委員会では顔合わせと情報共有、就労支援ケアパッケージの大枠のみの検討しかできなかったため、回復期脳卒中患者の自己像の再構築への支援に焦点をあてた就労支援ケアパッケージの具体的な内容の検討と介入研究に向けての調整はH30年度に行うこととなったため、介入研究の開始時期が、当初の予定より半年程度遅れることとなった。 今後の研究に向けて両立支援研究者からのスーパーバイズを受けた。結果、ケアパッケージ作成のために実施した実態や意識調査で、企業・支援機関・回復期リハ病棟は量的調査だが、患者は質的調査のみで人数が20名と少ないこと、脳卒中患者の場合、後遺症に個別性が高いことから、ケアパッケージ作成のためには脳卒中患者で就労した方への量的調査を行い、ケアパッケージ作成に反映させた方がよいとのことだった。
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Strategy for Future Research Activity |
回復期脳卒中患者の自己像の再構築への支援に焦点をあてた就労支援ケアパッケージの具体的な内容の作成、介入研究の研究計画書の作成、倫理審査を受け、倫理審査会の承認後、介入研究を開始する予定(平成30年10月頃)である。 就労した脳卒中患者への量的調査は、研究計画書を作成し、倫理審査承認後、実施予定(平成30年7月頃)である。対象の選定は調査会社に登録している患者とし、回答数100名以上を予定している。 介入研究は、1医療機関で身体障害のみ・軽度~中等度の高次脳機能障害があり身体障害がある方各1名の最低計2名、2施設で最低4名は実施予定である。介入期間は回復期リハ病棟入院時~発症後6か月までとする。介入の評価は、患者・専門職に支援前後のインタビューまたはアンケートを行う。介入研究を依頼する協力医療機関の医師には平成30年度実施予定の介入研究の概要については説明し、承諾を得ている。 委員会は定期的に開催(メール会議含)し、情報共有・意見交換を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れているため、委員会や介入研究準備で使用するための費用を使用していない。また学会が日帰りで可能な地域での開催であったため、交通費等の使用が少なかった。委員会やデータ整理のための事務職員を雇用できなかったため、事務職員雇用の費用を使用していない。 平成29年度に購入しなかったPC等の備品や消耗品を購入する。委員会や介入研究実施のために使用する。追加して実施する患者の量的調査費として使用する。
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