2017 Fiscal Year Research-status Report
保健師のグローバル・コンピテンシーと教育プログラムの開発
Project/Area Number |
16K12337
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小寺 さやか 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (30509617)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中世古 恵美 園田学園女子大学, 人間健康学部, 助教 (00513425)
田中 祐子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 准教授 (10535800)
岩本 里織 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (20321276)
井上 清美 姫路獨協大学, 看護学部, 教授 (20511934)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 保健師 / グローバル / コンピテンシー / 保健師教育 / 国際 / 在留外国人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,グローバル社会に対応できる保健師に必要なコンピテンシーを明らかにし,その修得を目的とした教育プログラムを開発することである。本研究の2年目に当たる平成29年度は昨年度に引き続き,グローバル社会に対応できる保健師像と求められる実践能力を質的に明らかにするために,インタビュー調査を実施した。対象は,①在留外国人の支援経験をもつ行政保健師,②国際保健活動に従事した経験を持つ行政保健師であった。個別に半構造的インタビューを実施し,在留外国人に対する具体的な支援内容又は支援したいこと,グローバル社会において保健師に必要と思われる能力等について尋ねた。 その結果,「異文化を持つ対象集団の健康課題を捉える」「文化的特性から対象を理解する」「多様なコミュニケーション方法を活用する」「ヘルスケアにアクセスしやすい環境を整える」「国籍に関わらず健康的な生活を送る権利を擁護する」「健康に関わる海外の情報を収集する」の6つのカテゴリーが抽出された。 日本社会において,民族的マイノリティにおける健康格差が顕在化してきている現状とそれに対応する保健師の対応が具体的に明らかとなった。特に,多様なコミュニケーションスキルを活用しながら,対象の有する文化に対応した支援を提供する能力(cultural competence)や社会的公正から対象の健康を支援できる能力(social justice/human rights)がより重要であることが示唆された。さらに,国内の健康課題を解決するために,海外の感染症等に関する動向にも敏感になる必要性が明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は,インタビュー調査で明らかになったコンピテンシーに対するデルファイ調査を予定していたが,予想以上にインタビュー調査対象者の確保が難しかったことから,経験年数等の選定条件を変更した。このことにより,倫理審査委員会の変更申請等で時間を要した。しかし,インタビュー調査の結果(一部)は国内学会にて発表し,公表している。今後,残りのデータを分析し,研究成果を論文化する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
グローバル社会に対応できる保健師に必要なコンピテンシーとその修得を目的とした教育プログラムを開発に向けて,平成30年度には,先ず保健師のコンピテンシーの構成内容を研究組織メンバーで検討する。その内容的妥当性を得るために,デルファイ法を用いて専門家の意見を集約する(計2回実施予定)。また,その結果を踏まえて,現場の保健師からの要望も多い教育プログラムを検討する。 法制度の改正により,在留外国人を取り巻く環境は大きく変化してきている。特に地域において複雑な健康課題を持つ在留外国人への支援はより一層難しさを増していることがインタビュー調査を通じて明らかとなった。これらの課題に対応するため,現場の保健師が活用できるマニュアル(指針)等が必要である。今後,教育プログラムにおいてマニュアル作成を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
平成29年度に実施予定であったデルファイ調査を次年度へ延期したことが主な理由である。デルファイ調査は平成30年度に実施予定である。また,その結果を国内学会及び国際学会にて公表及び論文化することで,予定していた助成金を使用できる見込みである。
|
Research Products
(1 results)