2017 Fiscal Year Research-status Report
中堅保健師のワークエンゲイジメントの影響要因と強化方策に関する研究
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16K12340
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鳩野 洋子 九州大学, 医学研究院, 教授 (20260268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 珠実 国立保健医療科学院, その他部局等, 客員研究員 (00758469)
島田 美喜 東京純心大学, 看護学部, 教授 (20332356) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 保健師 / 中堅期 / ワークエンゲイジメント / 停滞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自治体の中堅保健師にキャリア停滞ともいえる状況があるといわれることの改善に向けて、仕事に関連するポジティブで充実した心理状態を表す概念であるワークエンゲイジメントに着目し、その実態と関連要因を質的・量的観点から明らかにすることである。 質的研究においては、全国の地理的条件、自治体の種別を勘案した上で、8名の中堅期の保健師に対するインタビュー行った。中堅期の停滞の主要因は、部署の異動、私生活と業務量のバランス、不慣れな業務であるにも関わらず中堅としての役割を求められたこと、産休をとる中での仕事の仕方等があった。 量的研究においては、郵送法にて、全国の市町村(1/2を無作為抽出)の統括的な立場の保健師に、新任期、中堅期、中堅前期、管理期の保健師への質問紙の配布を依頼し、郵送法で個別に回収を行った。全部で1395通の返送があり、その中からまず回答の欠損が多いものを除いた上で、保健師経験年数とワークエンゲイジメントの双方がすべて回答されていた1367通を分析対象とした。 新任期(n=334)、中堅前期(n=339)、中堅後期(n=389)、管理期(n=305)のワークエンゲイジメント得点は、それぞれ2.80±0.83、2.76±0.85、2.83±0.83、3.20±0.73で、中堅前期の得点が最も低かった(p<0.05)。また、中堅期だけを分析対象として、ワークエンゲイジメント得点と、要因と想定して設定した項目との関連を検討したところ、属性では、年代、現在の部署の勤務年数、学歴、子供の有無(いるほうがワークエンゲイジメント得点は高い)く、職場要因では、日常的に相談ができること、職場の上司と働き方の目標やゴール等を話し合う機会があること、ジョブローテーションの明確さ等と有意な関連が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は全国の市町村保健師に対する質問紙調査を実施し、その分析を実施した。またインタビューに関しても、全国の8名の保健師に対するインタビューを行った。質問紙調査の実施、インタビューの実施とも、昨年度はやや遅れていたが、その遅れをとり戻し、ほぼ計画どおりのスケジュールで進行している。ただし、インタビューの分析を行った結果、停滞感をあまり感じていない対象が含まれたことにより、追加のインタビューの必要があると思われる。その分は30年度にインタビューを追加することで対応可能と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は12月末をもって分担研究者の1名が個人的な事情により分担研究者の資格を喪失した。しかし、今後も研究協力者として本研究にかかわることを確認している。そのため、実質的には体制に変更はなく、研究を推進してゆく予定である。
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Causes of Carryover |
助成金が生じた状況としては、人件費の使用が必要とされなかったことが大きい。資料整理のための人件費が必要としていたが、協力者が得られたことで、対応が可能であった。次年度は質的なインタビューに関しての追加の調査が必要であるため、そちらの経費として使用する予定である。
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