2018 Fiscal Year Research-status Report
大震災の風化と豪雨等新たな災害の防止に向けた自治体協働による地域防災モデルの構築
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16K12341
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
桂 晶子 宮城大学, 看護学群(部), 准教授 (00272063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 潤 宮城大学, 看護学群(部), 准教授 (90347203)
千葉 洋子 宮城大学, 看護学群(部), 助教 (70757856)
坂東 志乃 (渡邊志乃) 宮城大学, 看護学群(部), 助教 (60563955)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 災害看護 / 保健師 / 風水害 / 防災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,平成23年の「東日本大震災」(以下,大震災)および「平成27年9月関東・東北豪雨」(以下,東北豪雨)の2つの自然災害の被害を受けた地域をフィールドに定め,住民の健康状態を把握すること,災害時の保健師活動を明らかにすることであり,これらを通して地域防災モデルを検討する. 大震災と東北豪雨の被害を受けた住民の精神的健康をK6(5点以上:心理的ストレス反応相当,10点以上:気分・不安障害相当)を用いて把握し被害状況との関連をみた.震災から約6年,東北豪雨から約1年半経過した時点において,前期高齢者では「大震災,東北豪雨の一方又は両方で被害を受けた」群のK6得点の内訳は0-4点66.7%,5-9点23.7%,10点以上9.6%,後期高齢者では0-4点47.7%,5-9点34.1%,10点以上18.2%だった.つまり,被害を受けた後期高齢者の52.3%はK6が5点以上の心理的ストレス反応相当以上の状態であり,有意差は認められなかったが被害の無かった群の30.8%,平成28年国民生活基礎調査の25.9%と比べて高い値であった.精神的健康に与える被災の負の影響は特に後期高齢者の場合は長期に及ぶ可能性があり,長いスパンでの支援の必要性が示唆された. K6とソーシャル・キャピタル(以下,SC)との関連では,前期・後期高齢者ともに「住民の助け合い」「地域の人々への信頼」を肯定的に捉えている群は,そうでない群よりもK6得点が有意に高く,SC醸成に向けた地域づくりは被災地域の高齢者の精神的健康に寄与することが示唆された. 大震災と東北豪雨にて支援活動を行った自治体保健師のインタビューを通して,地震災害と豪雨災害における支援活動の共通点・相違点,支援活動を促進する要素等が明らかとなった.更に,地域防災のあり方への示唆を得た.文献検討および前述を踏まえ,地域防災モデルの試案に取組んだ.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地域防災モデルの試案作成途中であり、完成には至っておらず、今後更なる情報収集を要するため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果の発表、及び、地域防災モデル作成を進める。
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Causes of Carryover |
予算品目別にみると物品費、人件費・謝金の支出残が大きく生じており、これは、当初計画よりも少ない物品および人件費で調査等が可能であったことが主な理由であるが、今後は、研究のまとめ、発表を見越して計画的に予算を支出する。
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