2017 Fiscal Year Research-status Report
ICTを活用した被災地の孤立防止と生活支援型コミュニティづくり
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16K12375
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
小川 晃子 岩手県立大学, 社会福祉学部, 教授 (40305280)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 孤立防止 / ICT活用 / コミュニティづくり / 被災地支援 / 減災 / 防災 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、東日本大震災の被災地である釜石市平田地区と鵜住居地区、及び一関市で継続しているアクションリサーチのデータから、発災後の居住の変動や移転のなかでのICTを活用した孤立防止と生活支援策の有効性を検証した。釜石市鵜住居では7年間にわたる仮設住宅の、その集約段階も含めた検証ができた。また、釜石市平田地区では被災地における一般住宅での住民の検証を行った。そして一関市では、仮設住宅から災害公営住宅移転に伴う段階の有効性を明らかにした。釜石市鵜住居でのアクションリサーチは、見守りを行っていたサポートセンターの終了により完了するが、2020年まで仮設住宅が継続することになった山田町ないしは陸前高田市におけるアクションリサーチを現在企画しており、これにより居住の変動に伴う検証を継続する予定である。 また、岩手県内でのお元気発信利用に伴う評価調査は、岩手県及び岩手県社会福祉協議会とともに、市町村社会福祉協議会を対象として実施した。この結果は平成30年度に質的調査(ワークショップ)を加えて、分析を進める予定である。 一方、岩手県外における検証としては、高知県梼原町での「お元気発信」利用に伴う住民意識の変化や、行政や社会福祉協議会の評価をヒアリングし、南海トラフ巨大地震を想定した際の減災策としての効果を検証した。しかし、予定していた阪神淡路地区と千葉県柏市における検証は進めることができず、これは平成30年度への積み残しとなった。 収集したデータをもとに、ICTを活用した被災地の孤立防止と生活支援型コミュニティづくりについて、①復旧・復興の段階別支援策、②行為規制と地域性に応じた支援の在り方、③新たな災害に対する防災・減災対策について、検証作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
岩手県内のICTを活用した孤立防止とコミュニティづくりに関連するアクションリサーチとデータ検証は予定通り進んでいる。当初予定しなかった、台風10号被害の影響等も加え検証作業が進展している。 岩手県外の検証としては、平成29年度に南海トラフが想定されている高知県梼原町における調査を予定通り進めることができた。 しかし、岩手県外の検証として予定していた神戸市と千葉県柏市での調査を進めることができなかった。神戸市は相手方との日程調整がうまくいかなかったことが、千葉県柏市は「お元気発信」のアクションリサーチが相手方都合により受け入れられなかったことが、原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においては、岩手県内と高知県梼原町で得たデータをもとに、ICTを活用した孤立防止とコミュニティづくりの防災・減災としての有効性分析を進め、報告書をまとめる予定である。 その際に作業が遅れている神戸市と千葉県柏市における検証は、文献調査におきかえて実施する予定である。、
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Causes of Carryover |
神戸市及び千葉県柏市等の予定していた県外の調査が実施できなかった。神戸市と柏市のヒアリングは、文献調査など別方式に置き換えて平成30年度に実施する予定である。また、高知県梼原町には、再度ヒアリングを実施し、補完する予定である。 また、「お元気発信」の見守りセンターを運営している県内市町村社会福祉協議会への調査は、岩手県と岩手県社会福祉協議会が別費用で実施しデータを共有したことにより、費用がかからずに済んだ。これについては補完的な量的調査と、ワークショップ等の質的調査を平成30年度に実施する予定である。
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