2016 Fiscal Year Research-status Report
レジリエンスを引き出す災害後のコミュニティ支援モデルの構築
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16K12387
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
村本 邦子 立命館大学, 応用人間科学研究科, 教授 (70343663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鵜野 祐介 立命館大学, 文学部, 教授 (10269970)
団 士郎 立命館大学, 応用人間科学研究科, 教授 (20388101)
中村 正 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90217860)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レジリエンス / 災害 / コミュニティ / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは、平成23年度より、毎年、東北4県にある複数のコミュニティ(青森県むつ市、宮城県多賀城市、岩手県宮古市、福島県福島市)において、それぞれの現地支援機関との協働で、「東日本・家族応援プロジェクト」を実施し、支援活動を展開しながらフィールドワークを行ってきた。平成28年度もアクションリサーチとしての取り組みを継続しながら、必要な現地の関係者へのインタビューを追加し、この5年間に蓄積してきたデータの分析を行い、1.東日本大震災が人々やコミュニティに与えた影響と5年間の復興プロセスを記述するとともに、2.各コミュニティにおけるレジリエンスと言える要因はどこにあるのか、3.それを強化することのできた外部からの支援はどのようなものだったかを特定することを模索した。 1.本研究が介入のツールとする「家族漫画」や「証人」となることを使命とするプログラムが触媒的な作用をもたらし、震災と復興をとおした物語る人と聴く人の、基層にある体験と非日常における覚醒の複数の声が重なりあう相互作用の効果として新たな「物語」が協働で生み出されていた。ここからたくさんの「小さな物語」が集められ記述された。2.各コミュニティに特徴があるが、共同体としての力と伝承の力が明らかになり、歴史・地理・自然・治政的意味を持つ「地(トポス)」に根差したレジリエンスを見出すことが示唆された。3.具体的になされた支援の内容以上に、外部からの支援者たちとの出会いや結びつきが「縁」の感覚をもたらし、被災は災難だけでなく良いものをももたらしたという信念が人々のレジリエンスを強化することがわかった。 あわせて、平成28年5月に発生した熊本地震に関する災害後の初期情報の収集も始めた。今後、東日本大震災に関するデータと合わせて分析の対象としていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集、分析、学会報告など一連の研究活動が予定どおりに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度においても、当初の計画通りプロジェクトを継続し、さらにデータを蓄積しながら、1.東日本大震災が人々やコミュニティに与えた影響と復興プロセスを記述し、2.各コミュニティにおけるレジリエンスと言える要因はどこにあるのか、3.それを強化することのできた外部からの支援はどのようなものだったかを特定するための分析を深める。これに加え、本年度は、4.コミュニティのレジリエンスを特定するアセスメント方法、とくにコミュニティの文化的多様性を尊重したアセスメント方法に焦点を当てながら、コミュニティのレジリエンスを引き出す支援のありかたをまとめ直し、ここまでの研究成果を国内外の学会で報告してフィードバックを受ける。 熊本地震がコミュニティにもたらした影響や支援についても参照しながら、時間経過に伴う災害後のコミュニティの変化と有効な支援についてまとめ、「物語(ナラティブ)」に着目しながら、東日本大震災後のコミュニティの変化と支援のあり方をまとめあげるとともに、大災害後のコミュニティのレジリエンスを引き出すコミュニティ支援モデルの提言を行という最終目標に向けて研究を続ける。
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