2018 Fiscal Year Annual Research Report
Constructing a Community Support Model for Building Post-Disaster Resilience
Project/Area Number |
16K12387
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
村本 邦子 立命館大学, 人間科学研究科, 教授 (70343663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鵜野 祐介 立命館大学, 文学部, 教授 (10269970)
団 士郎 立命館大学, 応用人間科学研究科, 教授 (20388101) [Withdrawn]
中村 正 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90217860)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レジリエンス / 災害 / コミュニティ / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画に沿って、アクションリサーチとしての取り組みを継続しながらデータを追加し、これまでのデータを「ショートストーリー」というナラティブの形式でまとめ直し、東日本大震災が人々やコミュニティに与えた影響と復興プロセスの記述、各コミュニティにおけるレジリエンス要因の分析、それを強化した外部からの支援の特定、アセスメントと介入の可能性を明らかにした。 コミュニティのレジリエンスが発揮されるには、災禍を生き抜こうとする当事者の主体性の発動が必須であり、そこに寄り添おうとする外部からの支援者の存在によって支えられる。被災直後には、外部者が安全と日常性を取り戻すための物理的支援をするなかで、被災者の主体性の回復のナラティブを支え、そこにあるレジリエンスの源がどこにあるのかアセスメントしなければならない。とくに共同体が生きている地方においては、歴史・文化・地政学的条件のなかから育まれてきた力を特定していくことができる。時間経過とともに再建が始まっていくと、外部者の関心が薄れ、復興の格差が広がっていく。外部者が継続的関心を持ち続けることで、一過的でない相互的な関係が築かれることに意味が生まれるようになる。外部者の存在は被災者同士が体験を語る触媒になることもあれば、日常を共にしない外部者にこそ語れることもある。そんな関係を軸に、被災者の主体的復興のナラティブを強化することができる。外部者の視線は、被災者にとっては日常に埋め込まれその価値に気づきにくいものを浮かび上がらせるという役割を果たす。その過程は外部支援者にも新しい力を生み出すものであり、互いに力を与え合う関係が育ち、被災が与えた否定的だけではない意味を作っていく。 トラウマのトラウマたる所以は、恐怖に伴う圧倒的無力感と孤立無援感に由来する関係性の破壊にあり、レジリエンスはそれに抵抗し得る有力感と他者との絆による関係性の強化にある。
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