2016 Fiscal Year Research-status Report
分散協調電力制御における情報理論と制御理論の統一理論の構築
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16K12394
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 丈和 静岡理工科大学, 理工学部, 准教授 (30362859)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電力フロー制御 / 電力カラーリング / 分散協調制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本提案は,電力エネルギーの伝送において,電力の送り手と受け手の協調制御によって送り手と受け手を区別して電力を配送するという分散協調電力カラーリングのコンセプトに基づくものである. 初年度である28年度には,まずネットワーク制御可能なAC/DC双方向の変換を行うコンバーターと蓄電池を組み合わせて,電力ディストリビュータと呼ぶ電力制御機能,ネットワーク機能を持つ装置を開発した.さらに一般の家電にスマートタップと呼ぶ電力計測と簡易電力制御機能を持つ装置を組み合わせた簡易版電力ディストリビュータを開発した. 電力ディストリビューターによる2台の可制御電源と簡易版電力ディストリビュータで計測制御する2台の家電を電力ネットワークに接続して,家電の負荷変動に合わせて可制御電源の出力をコントロールすることで,仮想的に特定の電源から特定の負荷に電力供給を行うフロー制御を実現した.また,変動電源である太陽光発電を電力ディストリビュータで模擬するように電力制御を行い,簡易版電力ディストリビュータで制御する家電を可制御負荷として使用して,変動電源を含む2台の電源と,2台の可制御負荷に対して,変動電源の出力に同期して負荷制御を行うことで,変動電源から可制御負荷に電力供給を行うフロー制御を実現した.さらに,これら上記のシステムを拡張して,電源にも負荷にも変動電源,変動負荷を含む場合,またM台の電源からN台の負荷への電力フローについて,電力フローの計算,制御方法の理論を整理して,変動電源から変動負荷への電力供給を含むM:N電力供給フローを実現した. これらの成果により小規模な閉じた電力ネットワークにおける電力フロー制御の基礎理論が確立したと言える.これらの成果は,国際会議ICCE TAIWANに投稿して採録され,発表が決定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画であげていた項目のうち,平成28年度の目標としていた小規模なネットワークにおける1対1の電力フローが実現できたとともに,元々平成29年度を予定していたN対Mの電力フロー制御の基礎理論及び実験も完成している.年度内の研究成果発表は間に合わなかったものの,平成29年度の国際会議での発表も決定しているため,概ね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,現在のシステムの特性評価を行なって,論文誌への成果発表を行いつつ,電力グリッドと接続された開いた電力ネットワークにおける電力フロー制御の影響を検討していく.
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Causes of Carryover |
当初28年度内に予定していた国際会議における発表を,29年度の6月に開催されるICCE TAIWANに電力カラーリングに関連する特別セッションが組まれることになり成果発表の場としてより適切と判断したため,そちらに投稿することになった.そのため,国際会議の参加費,旅費として予定していた予算を次年度に繰り越すこととした.なお,当該国際会議には投稿して採録決定となっている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越し金は平成29年6月に台湾で開催される国際会議ICCE TAIWANの参加費,及び旅費として使用する予定である.
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Remarks |
研究成果の一部を,エネルギーの情報化WGと京都大学スマートエネルギーマネジメント研究ユニットが共催するスマートエネルギーマネジメントシンポジウム~革新的なエネルギーマネジメント技術の実現に向けて~において発表した.
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