2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K12397
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水田 正弘 北海道大学, 情報基盤センター, 教授 (70174026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊達 広行 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (10197600)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | IBED / ASF / Therapeutic Window / 腫瘍制御確率 / 正常組織障害発生確率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題における重要な研究テーマである、放射線に対する腫瘍および正常組織(危険臓器)の影響を表す適切なモデルの設定について研究を推進してきた。すなわち、従来、影響を評価する指標としてBiologically effective dose (BED= n x d(1 + d/α/β))が用いられてきたが、対象への照射が一様分布であるとみなして計算するものである。ただし、nは照射回数、dは照射線量、αおよびβはパラメータである。腫瘍または危険臓器への照射が一様分布になることは通常ありえないので、dの値は定数ではない。そこで、照射の分布を考慮した指標としてIBED(Integral BED)が提案されている。これはFSU (Functional Sub Units;機能的小単位)におけるBEDの算術平均である。しかし、IBEDは、本来の目的である腫瘍および危険臓器の生存率(ASF)を適切に示すものではない。 昨年度の研究で、理論的及び簡単な数値モデルでこの問題を明確にした。しかし、臨床的な例示が不十分であるとの指摘があった。そこで、本年度の研究では、臨床的な観点を含め詳細な検討を進めた。臨床の医師からの協力も得ることで、一定の成果が得られた。それらの成果を放射線医療に関する学術ジャーナルに投稿・掲載することができた。 さらに、複数の腫瘍が存在する状況での治療方法の数理的モデルについて検討を進めた。今年度中には最終的な結果は出なかったが、数値シミュレーションなどを実施し、研究の糸口を得ることができた。 以上の成果は、重粒子線や陽子線を含む放射線治療の有効性の評価に寄与できる統計科学的アプローチであると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
腫瘍および危険臓器に対する非一様な放射線照射に対する影響の指標であるIBEDとASFの比較に関する研究を推進し、放射線医療に関する学術ジャーナルに投稿・掲載することができた。この研究成果は、放射線治療に関する数理モデルの研究における基本的な事項であるため、多くの反響が得られた。 また、複数の腫瘍が存在する状況での治療方法の数理的モデルという新たなテーマを定式化することができ、本研究課題のみならず、放射線治療に関して大きな課題を示すことができた。 以上により、当初の計画以上の成果を得ることができたと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、本研究課題の最終年度として、研究全体の総まとめを実施する。さらに、本年度、課題が明確となった「複数の腫瘍が存在する状況での治療方法の数理的モデル」について研究を進める。
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Causes of Carryover |
(理由) 本年度は、論文執筆および理論的検討が中心だったため、物品の購入分の支出が少なかった。 (使用計画) 国際会議などで積極的に研究成果を発表する予定である。
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Research Products
(7 results)