2016 Fiscal Year Research-status Report
分散アルゴリズムへのブロックチェイン技術の応用に関する調査
Project/Area Number |
16K12425
|
Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
佐藤 一郎 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 教授 (80282896)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ブロックチェイン / 分散アルゴリズム / ビットコイン |
Outline of Annual Research Achievements |
ビットコインに代表される仮想通貨のコア技術となるブロックチェインの応用に関して研究した。特に分散アルゴリズムの機能要件をブロックチェインで実現できるかを明からにするために、代表的な分散アルゴリズム、例えば①分散相互排除アルゴリズム、②リーダー選出アルゴリズム、③分散同意アルゴリズムなどの実現できるかを、それぞれのアルゴリズム相当をブロックチェインを利用して実現するという構成的な方法で判定した。まず①と②に関しては、クリティカルセクションを保持するコンピュータまたはリーダーとなるコンピュータの識別子を他のコンピュータがブロックチェインで保持できるかと同値となる。ただ、ブロックチェインでは仮に各コンピュータが同じ情報を持つ、つまりビットコインでいうと取引額に関する証明が各コンピュータ上で一致することとなるが、実際にブロックチェインでは複数コンピュータが相違な値を持つ場合、どちらかに集約する速度が遅いために完全に再現出きるわけではないことがわかった。③は分散システムの耐故障性に関する問題として、L.Lamport博士により提唱されたビザンチン将軍問題のひとつの解法になりえているともいえるが、①と②と同様に状態が枝分かれしたときに枝刈りするのに時間がかかることから、ビザンチン問題と前提や内容が違うことも明らかになった。もちろん、枝分かれをしてもブロックチェインでは多数決で解決できるとされるが、スプリットブレイン、つまりコンピュータ郡が二つ以上に大きく分断された場合は保証できないことがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定通りに、既存分散アルゴイズムの実現性を確かめており、順調に進んでいるといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
H28年度はブロックチェイン手法の特性を調べるために基本的な分散アルゴリズムをブロックチェインで実現できるかを調べたが、H29年度では、分散アルゴリズムにおいて求められる、同じメッセージなどが高々一回しか送信されないことをExactly-Once性を担保できる。3つめはタイムスタンプである。事象の発生順序を記録し、その改竄させない仕組みをもっている。これは複数メッセージを扱う分散システムにおいて順序を保証する上で重要となることから調べていく。またH28年度はブロックチェインのもつ特性の一つ、改ざん防止性を対象外としたが、H29年度はビットコインの認証機構である。公開暗号を利用することで、不正なトランザクションやなりすましを防ぐとともに、本来、複製が容易な電子情報に原本性を持たしており、これを念頭に評価を行っていく。
|
Causes of Carryover |
国際会議発表に伴う参加費が外国為替(ユーロから円)レートにより差が生じてしまった
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
差異は小さく、H29年度の予算使用において吸収できる。
|
Research Products
(1 results)