2016 Fiscal Year Research-status Report
位置情報サービス利用における位置プライバシー保護技術の実用性向上
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16K12429
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 隆浩 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (20294043)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地理情報システム / 位置プライバシー |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、スマートフォンの爆発的な普及に伴い、ユーザの位置に基づいて多様なサービスを提供する位置情報サービスが注目されている。位置情報サービスの利用のためには、ユーザの現在位置をサービス提供者に送信する必要があるが、位置情報は重要なプライバシー情報であるため、その漏洩の危険性が心配されている。本研究では、位置情報サービス利用時のユーザの位置プライバシー保護を目的として、複数のダミーの位置情報を生成する実用的な手法を考案する。平成28年度は、以下のように研究を推進した。 まず、(1)「訪問場所に関するユーザの嗜好を考慮したダミー生成手法」として、ユーザの嗜好の近いダミーを生成したり、逆に、ユーザとかけはなれたダミーを生成したりするなどを調整可能な手法を検討した。そのために、まずユーザの嗜好を訪問場所の遷移確率などとして定義可能な嗜好モデルを考案し、そのモデルとユーザが指定する嗜好依存度合に基づいて、ダミーを生成する手法を設計した。 次に、(2)「ユーザの事前入力の手間を軽減するダミー生成手法」として、訪問場所と訪問順序であったり、訪問場所のみをユーザが指定したりする場合でも、ユーザの移動プランを予測した上でダミーを暫定的に生成し、ユーザの実際の移動状況に基づいて適応的にダミーの移動パターンを変更する手法を考案した。ユーザが入力する情報が少ないほど、予測したユーザの移動プランが実際のものと異なる可能性が高くなるため、事前入力する情報の種類およびその詳細度と、プライバシー保護の性能限界との関係を詳細に調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全般として、研究開発は概ね予定通りに進んでいる。課題(1)については、手法の設計とシミュレーションによる評価実験を概ね完了した。課題(2)については、初期的な手法の考案とシミュレーション評価を完了し、国内シンポジウムでの成果発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度となる平成29年度は、平成28年度までに研究開発した基盤技術について、拡張・改良を進めてより高度なものに発展させる。 1.平成28年度までの考案技術の拡張・改良 前年度の考案技術に対して、評価実験等の結果に基づいた問題点の抽出と解決方法の検討を行い、拡張・改良を施す。さらに、拡張・改良した技術は、詳細な評価実験等によって、有効性の検証および更なる拡張を行う。 2.考案手法の視認性評価字国権 考案手法によって生成したダミーが、実際に人の目から見ても動きが不自然ではなく、ユーザと識別が困難かを検証するために、被験者による視認性評価実験を行う。
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Research Products
(2 results)