2016 Fiscal Year Research-status Report
4次元ストリートビューによるHPCデータの対話的可視化
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16K12434
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
陰山 聡 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (20260052)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | データ可視化 / 全方位可視化 / 計算機シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は動画空間ブラウザの開発の注力した。これは、多数の全方位可視化カメラで「撮影」した in-situ可視化動画像群を対話的に解析するアプリケーションである。カメラの視点位置(全方位カメラの座標)と各フレームの時刻情報を合わせた4次元(空間3次元+時間1次元)空間中の静止画データセットに対してユーザは4次元空間中の軌跡を自由に指定する。その経路上に位置する静止画のシークエンスをリアルタイムに抽出し、滑らかな動画として表示する。本年度の研究開発により、以下の3点の成果が得られた。 (1) 読み込み可能動画数の制限撤廃: 準備研究の段階で開発していた動画空間ブラウザでは、解析対象となる動画データ群の全てをPCのメモリに読み込んでいたため再生できる動画の数に制限があった。本年度は、ユーザの指定した視点位置の周囲の動画だけを選択的にメモリに読み込むout-of-core手法を実装することによりこの制限をとることに成功した。 (2) 全方位可視化画像の作成方法の改良:従来はYin-Yang格子の手法を応用し、視点から2方向の可視化画像を生成・合成していたところを、6方向の画像可視化画像を生成・合成する方法に改良した。これにより、in-situ可視化としてソフトウェアレンダリングとハードウェアレンダリングの両方に対応することが可能となった。 (3) スーパーコンピュータ上でのin-situ可視化手法の確立:本研究を成功させる鍵の一つは、スーパーコンピュータ上での高品質in-situ可視化を十分な速さで実現することである。本年度はオープンソースの汎用可視化ソフトであるKVSをスーパーコンピュータ上で動かすための研究を進めた。基本ライブラリのOSMesaをスーパーコンピュータ動かす必要があり、そこでかなりの労力を費やしたが、最終的に成功し、現在ではKVSを使った基本的な可視化が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、動画空間ブラウザ開発を進め、読み込み可能な動画数の制限をなくすのが本年度の計画であった。上述のように、この目標は達成することができたので、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究が目指す4次元ストリートビューは、HPC 分野の様々な計算に応用可能である。その有効性をアピールするためには、シミュレーション研究として意味のある具体的成果を挙げることが最善の道であろう。二年目となる平成29年度には、研究代表者の専門である磁気流体力学(MHD)シミュレーションにこの手法を応用し、問題点の抽出と解決を図りながら、科学的に意義のある成果を出すことを目指す。 その基礎となるのは研究代表者が開発したMHDシミュレーションコードである。平成29年度には、このコードにKVSを利用したin-situ可視化機能を組み込む。研究計画を出した段階では可視化エンジンとしてParaViewを利用する予定であったが、それをKVSに変更する。この変更の理由は以下の二点である。(1) ParaViewよりもKVSの方が可視化画像の生成が早いと期待されること。(2) KVSの開発者(坂本尚久博士)が、研究代表者の研究室に在籍するようになったこと。 MHDシミュレーションコードとして、カーテシアン格子に基づくcg-mhdコードと、Yin-Yang-Zhong格子に基づくyyzコードを利用する。スーパーコンピュータシステムとしては核融合科学研究所のプラズマシミュレータおよび海洋研究開発機構の地球シミュレータを主に利用する。既にプラズマシミュレータ上でKVSの一部機能の実行に成功しているので、見込みは十分にあると考えている。
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[Presentation] 薄い対流層のMHDダイナモ2016
Author(s)
陰山 聡
Organizer
JpGU(日本地球惑星科学連合2016年大会
Place of Presentation
幕張、千葉県
Year and Date
2016-05-23 – 2016-05-23
Int'l Joint Research
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