2017 Fiscal Year Research-status Report
人工知能技術を用いたサイバー攻撃と対策の自動共進化による「先回り」の実現
Project/Area Number |
16K12439
|
Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
八槇 博史 東京電機大学, システムデザイン工学部, 教授 (10322166)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 人工知能搭載型サイバーレンジ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度については,主に以下の二件について研究を行った. ・人工知能搭載型サイバーレンジの開発. 標的型攻撃では,ネットワークに侵入したマルウェアが各ホストをネットワークの内部から攻撃する.この動作を仮想計算機と SDN を用いて構成したサイバーレンジを用いてシミュレーションする.このサイバーレンジでは,攻撃側と防御側の双方に人工知能が搭載され,これらの人工知能を遺伝的アルゴリズム等により進化させることで,将来発生しうるサイバー攻撃の予測に繋げることを本研究では企図している.仮想ネットワークシステムの構築のためにネットワーク記述言語 NSDL を定義し,サイバーレンジにおける各種の動作を制御するための API 機構,および人工知能を進化させるための共進化シミュレーション機構や,AIによるサイバー攻撃をサイバーレンジ内で実現するための攻撃プランナーといったモジュールを開発した. ・人工知能搭載型サイバーレンジによるレジリエンス分析 標的型攻撃を企業や組織のネットワーク環境で事前検証し,想定される被害や必要となる対策を調査することが望ましい.本研究室で開発してきた,サイバーレンジと共進化シミュレーションシステムから構成される人工知能搭載型サイバーレンジを用いてこれを実現する.標的型攻撃の対策である入り口対策では,攻撃を防げていない.こうした背景から,攻撃の早期検知が重要である.そのために,特定の端末・サーバを重点的に監視し攻撃被害を最小限にとどめることを目指す.アプローチとして,グラフ理論を用いた故障対策におけるサービス継続性の考えをサイバーセキュリティに適応させ た,レジリエンス(強靱性)分析を提案した.本研究では,レジリエンス分析を行うためのシステム構築を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で成果として発表した人工知能搭載型サイバーレンジは,研究課題の提案時に目標とした人工知能による先回りを行うための基盤システムである. その開発が進み,一定の成果が得られた状況にある.このため,「概ね順調に進展している」と判断する.
|
Strategy for Future Research Activity |
人工知能搭載型サイバーレンジの初期バージョンが完成したことにより,今後はこれを拡充することで当初目的の達成へと向かう. 特に,サイバーレンジで表現できる情報システムをより複雑なものとすること,サイバーレンジ内で動く自動攻撃システムを高度化すること,および,人工知能搭載型サイバーレンジと我々が以前より開発してきたメタアルゴリズムによる学習システムであるGPGCloudとの統合を行い,本研究課題の完成とする.
|
Causes of Carryover |
人工知能搭載型サイバーレンジの開発にあたり,ハードウェア導入前にクラウドを用いて基礎システムを構築する方針に切換えたこと,および,国際会議への発表時期が2018年度にずれこみそれに関する海外渡航旅費の分が残っていることが主な事由である.ハードウェア導入と発表とを2018年度に行う予定である.
|