2016 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms of cognitive development in transductive reasoning and personification
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16K12450
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
高平 小百合 玉川大学, 教育学部, 教授 (80320779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 敏郎 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (30107015)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 転導推理 / 擬人化 / ベイズ推定 / ミラーニューロン / 推論 / 類推 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、幼児期特有の非論理的な発話である転導推理と無生物や人工物に対して人間のような行動や感情を付与するなどの擬人化(アニミズムなど)について、そのメカニズムをベイズ推定に基づき考察し、その脳内基盤についてのモデルを構築することである。本研究では、親によって新聞コラムに投稿された子供のユニークな発話の中から転導推理と擬人化を抽出し、横断的な分析を行い、同時にその信頼性を担保するために小数名の幼児に絞り3年間の発話記録を収集して縦断的データを取得し検討することとした。 1)横断的データ:平成28年度は、2000年1月から2015年12月までの16年間の新聞コラムに投稿された子供のユニークな発話内容を収集し入力した。現在は、2歳から7歳まで年齢ごとに転導推理と擬人化を抽出し、特徴によって分類する過程である。結果の一部は、国内学会分科会にて発表した。2)縦断的データ:保育園・幼稚園に依頼し、2歳児・3歳児・4歳児のユニークな発話内容を収集している。本年は初年度にあたり、今後縦断的データが収集された段階で発話分析を行う予定である。3)研究分担者によるモデル化:ベイズ推定の脳内機構が順モデルによる予測と実際に生じた信号の比較による予測誤差を最小化することによって行われていることについて考察を行い、日本発達心理学会などで講演した。またこれはミラーニューロンを作り上げている機構でもある。さらに「自己の心的状態モニタリング」および「他者の心的状態推定」の認知機能を、自他分離表象に基づいた心的状態のベイズ推定として定式化し発達モデルを構築する。本年度、発達モデル論文がFrontiers in Psychologyに採択された。また心の理論と言語の階層性の処理が異なる機構によるものであることを突き止め、国際学会Society for Neuroscienceで発表する準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
横断的研究データ:2000年から2015年までの16年間に及ぶ新聞コラムに投稿された3000個近い膨大な数の子どもの日常生活の中でのユニークな発話・会話のデータを取得し、入力がほぼ終わった段階である。現在は発話の分類と分析に入り、2歳から7歳までの転導推理的発話や擬人化的発話から年齢ごとの特徴を抽出し分類している。分類自体は継続中であるが、同時に29年度に予定しているモデル化のための分析を行っているため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として、10月までに転導推理と擬人化の横断的データの特徴分析を行う。縦断的データは引き続きデータ収集を行い、同時に発話分析も行っていく。 縦断的データ取得の方法を変更した:ボイスレコーダーにて幼児の声を録音する方法から保護者による子どもの発話内容を記録する方法に変更した。ボイスレコーダーの精度が十分得られなかったこと、保護者による発話内容の記録が可能になったことによって変更することを決定した。
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Causes of Carryover |
縦断的データの取得方法を、ボイスレコーダーにて幼児の声を録音する方法から保護者による子どもの発話内容を記録する方法に変更した。ボイスレコーダーの精度が十分得られなかったこと、保護者による発話内容の記録が可能になったことが主な理由である。これによりボイスレコーダー購入のための費用が使用されなかった。その代わりに、発話内容の記録を手入力によって入力するため、アルバイト等への謝金が必要となる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に引き続き、縦断的データの継続的なデータ収集とその入力のための謝金が必要となる。また、ベイズ推定によるモデル化と脳内基盤のモデル化を行うために、研究分担者との密接な研究打ち合わせに必要な経費・旅費を計上する。
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Research Products
(11 results)