2016 Fiscal Year Research-status Report
空中像形成技術を利用した遮蔽に頑健な3次元センシング
Project/Area Number |
16K12454
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 義浩 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 講師 (80456160)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | センシングデバイス・システム / 3次元計測 / 3次元ディスプレイ / コンピュータビジョン / 画像情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、遮蔽と3次元情報獲得の両者に対して頑健な新たな3次元センシングを目標として、A) 基盤技術の確立とB) 応用展開の2つのサブテーマに着手する。本年度は下記の通りに実施した。 サブテーマAでは、システムの構築及び定量的な性能評価を実施した。提案するシステムでは、空中像提示技術を能動計測における投影光源として利用する。同提示技術の光線を多方向から集める特性によって遮蔽に頑健な3次元計測を実現することができると考えられる。本年度は、特に撮像系と投影系の両者が効率よく光線を扱えるようにするためのシステム構成を新たに設計・構築するとともに、遮蔽に対する頑健性を実験によって確認した。さらに、光線の集光位置周辺における光の分布も計測に利用できることに着目し、3次元位置の計測範囲拡大や、接触面の角度などが取得可能であることを確かめた。加えて、複数の点光源を用いることで、3次元位置を計測できる範囲が拡大可能であることも確かめた。点光源を多点化した場合は、撮像系の一部を回転させ、空間を立体的に走査することで計測を実施できることを示した。 サブテーマBでは、テーブルトップ型のユーザインタフェースを想定したプロトタイプを構築した。具体的には、上記で開発した基本システムを作業机の下に収めたような構成のプロトタイプを開発した。このプロトタイプを用いたデモンストレーションによって、机上の作業スペースにものが置かれていても良く、センサを置く場所を別途確保する必要もなく、指が入り組んだ複雑なジェスチャや道具を把持した状況でのジェスチャも認識ができることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2つのサブテーマに対して、当初計画していた以上の成果を順調に収めている。サブテーマAでは、当初の想定通り基本システムの構築が行えるとともに、定量評価によって遮蔽に頑健であることを示すことができた。また、光源の自由度について本年度は単一光源のみでのシステム構築を計画していたが、次年度に計画していた複数光源への拡張にも着手することができた。具体的には、複数の光源をキューブ状に細線によって配置することで遮蔽頑健性を維持したまま、形状取得の自由度を向上できることも示すことができた。サブテーマBでは、実際の応用を想起しやすいProof of Conceptを構築し、デモンストレーションできるレベルにまで到達することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度に開発した基盤技術の拡張を図る。まず、サブテーマAでは、連続的な光の分布を形成する機構の可能性を検討する。本年度に開発した多光源型の構成において、光源数をより多くできるかを確認する。また、このような多点光源を振動または回転させることで、疑似的に光源の分布を多密度化する機構や、透過型ディスプレイを振動させる機構案などの検討にも着手する。また、システムの大型化が可能かを確かめる。加えて、能動光を利用せずに、環境光の反射を本技術によって撮像空間に転送できる可能性についても検討する。サブテーマBの拡張では、光源が単一から多点・連続分布となったことを利用した応用展開を図る。具体的には、より複雑なジェスチャUI応用や曲面形状計測応用などを想定している。加えて、大型化に伴い、人間の身体全体を計測するなどの応用範囲の拡大についても実現可能性を確かめる。
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Causes of Carryover |
当初予定していたよりも少ない金額で想定していたシステムを構築することができたため、次年度使用額が生じた。成果の進捗状況は順調であり、予算計画の変更は大きな問題ではない予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に予定している基盤技術の拡張において本残額を使用予定である。同案件は、予算額が大きいほどより性能の高い技術を構築できる可能性があるため、次年度使用額は有効に利用できる予定である。
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