2017 Fiscal Year Research-status Report
高周波計測と機械学習による瞳孔径変化からの内部状態推定
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16K12462
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中澤 篤志 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (20362593)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 瞳孔径 / 集中度 / 高周波 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,人の内部状態,特に集中度を推定するシステムへの需要が高まっている.一般に,人の内部状態の推定には,皮膚電位や心拍といった生理指標が用いられるが,瞳孔径変化も,認知的負荷,記憶想起,ストレスや興味等の人間の内部状態に起因することが知られている.この性質を用い,瞳孔径変化から生理指標を抽出することが出来れば,人の情動の非接触な計測が可能になり,装着の煩わしさやセンサの接触不良等のノイズの解消が期待出来る. 以上の事から我々は,非接触デバイスであるアイカメラで撮影した瞳孔画像を用いた集中度推定システムの実現を目指した.この実現のためには,実車を使った瞳孔計測実験の難しさや外光変化が瞳孔に与える影響の大きさといった課題がある. 以上の事から,我々は実験条件を細かく設定出来,かつ実環境を再現可能なゲームタスクおよび運転シミュレーターを用いて瞳孔計測実験を行い,瞳孔径変化と集中度の関係を明らかにすることとした.また,本研究では集中度の中でも特に,眠気に起因する集中度の低下を推定の対象とする.実験タスクは,前方車両追従タスクを用いた.前方車両追従タスクとは,前方車両と一定間隔を空けながら直線道路を走行するというタスクである.このデータを用いて,眠気が瞳孔径の大きさ・低周波成分・分散およびPUIに影響を与えることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに,1. ゲームタスク環境の構築,および短時間で眠気誘発可能な 実験タスクの考案,2. 実用化に向けた,高精度かつ装着ストレスの少ない瞳孔計測システムの構築,3. ゲームタスクを遂行中の被験者の瞳孔径を計測し,眠気を感じてい る区間に見られる瞳孔径変化の特徴を明らかにする,の1,2部分までが完了し,ゲームタスク,運転シミュレータおよび車載環境で実験を行い,データの処理方法の確立(瞳孔検出処理・ノイズ処理・データの正規化処理)を行ったうえでデータの取得を行い,集中度と瞳孔径に関連が深いことが確認できた.また,集中度に関連がある瞳孔径変化の周波数帯などもほぼ特定できたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに,操作ゲーム中の集中度と瞳孔径に関連があることがわかった.これはデータに対して分散およびPUI (Pupillary Unrest Index)を計算し,値を求めるものである.また,低周波のパワーを平均することも有効であることがわかった.今後は,実験で得られたこれらの複数の瞳孔特徴量と眠気が瞳孔径の大きさ・低周波成分・分散およびPUIに影響を与える事が統計的に示すことを目標とする.また,提案した各指標において,それぞれの眠気レベルに対応する値が個人間で大きく異なる事を示す.また,従来の瞬目を用いた特徴量であるPERCLOSを用いた推定を行い,比較を行い,提案法の有効性を示すことが目的となる.
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Causes of Carryover |
導入予定であったシミュレータ環境などは,研究室に既存の施設などを使用できたため,ほぼ無料で実験できた.このため,比較的安価に研究を進められたことが挙げられる.
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