2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K12472
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
暦本 純一 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (20463896)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヒューマンコンピュータインタラクション / 触覚フィードバック / バーチャルリアリティ / 対話デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
人間の触覚の非線形性により、非対称に振動する振動子を把持すると、本来は存在しない仮想的な力覚を感じることができる。この原理に基づいて従来よりも大幅に小型軽量の仮想力覚提示装置を研究開発する。この振動フィードバックの原理を利用すると、ナビゲーション手段として利用者に行き先方向に牽引力を感じさせるなどの応用が可能で、視覚障害者の行動誘導などのインタフェースシステムとして構成することができる。本研究の特徴は、振動波形が音響帯域であり簡易な装置で生成できるにもかかわらず顕著な移動感が達成できることである。 今期は主に、従来用いられていた電磁石モータによる構造ではなく、積層ピエゾ振動子によっても仮想力覚が発生することを検証目標とした。ピエゾ振動子を積層し中央部に錘を接着したものを振動子とする。従来と異なりモーター等の機構部が存在せず、大幅に単純な構造をもつが、従来と同等以上の仮想力覚が発生することがわかった。振動をレーザー測距装置で計測し、従来の構造よりもより忠実に駆動波形が振動波形に変換できていることが確認でき、それが力覚の向上に貢献していると考えている。 また、上記の検証に関連して、PC等のオーディオ出力からピエゾ振動子を所望の波形で振動させる駆動部、印加する波形と移動感の関係を解明するための検証システムの構築を行った。また、把持ではなく単一の指での接触によっても移動感が生成できることの基礎的な検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究達成目標として想定していた、積層ピエゾ振動子により仮想力覚が発生することが確認でき、従来よりもさらに小型化する仮想力覚フィードバック装置が構成できた。 さらに、従来の振動アクチュエーターよりもより明確に力覚フィードバックを感じることができた。これは、振動アクチュエーターが発生している振動パターンをレーザー測距装置で計測し、従来装置と比較した結果、従来装置よりもより忠実に入力波形を振動として再現できていることが判明し、それが振動フィードバックの品質に貢献しているものと考えられる。 また、本実験に関連し、PC等のオーディオ出力からピエゾ振動子を所望の波形で振動させる駆動部、印加する波形と移動感の関係を解明するための検証システムの構築でき、同時に構築した波形出力ソフトウェアにより、多様な振動パターンを容易に検証できるような環境が構成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今期に部分的に確認できた、把持ではなく単一の指での接触によっても移動感が生成できる機構についての検証を行い、携帯機器等の振動アクチュエーターよりも質量が大きい装置に組み込んだ場合でも移動感覚が提示できることを検証する。また、今回構築した振動アクチュエーターを応用して、体表に接着した場合などの効果を検証する。 また、本研究の内容を論文として公開する準備を進める。
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