2017 Fiscal Year Research-status Report
トロコイド移動機構を用いたテレプレゼンスロボットの開発と検証
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16K12478
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 太郎 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (00260521)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | テレプレゼンス / 全方位移動 / 車輪走行 / 加速度限界 / ホロノミック / 電子制御 / AWS / AWD |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は交付額の縮小に伴い,試作機の設計をヒトサイズの機械リンク式のステアリング構成から,1/5スケールの小型電子制御式の数値制御に置き換えることで試作の低コスト化を行った.これに伴い,本年度の検証目標からリンク式の接地点制御による不整地対応の項目を除き,整地平面内での加速度制御追従性に限定した検証を行った.
本年度の新たな成果として,同問題設定に際して「摩擦駆動型の車輪走行系一般における全方位移動性能の上限値」を解析的に定義し,これを実現するための「車輪転がりの下限速度」を求めることに成功した.これはトーラス型車輪とステアリングを用いる車輪走行系一般において適用可能な制御限界であり,車輪半径と接地摩擦係数を用いて一意に決定される.電子制御によるAWD(全輪駆動)かつAWS(全輪ステアリング制御)の小型試作機(1/5スケール)を構築し,即時の走行モード変更によってこの限界性能を常時最大化する制御の可否を検証した.速度下限値以上での並進モードとこれを下回る際に車輪速度を維持するトロコイド走行モードを往復するモード変更中も含んだ「ホロノミックな全方位加速度制御の上限値」を常時保持する制御解の存在とその解法を導くことに成功し,変換スケール条件下での速度域ではあるものの,その制御を実現することに成功した.
さらに次年度に向けては,1/1スケールでのヒト歩行挙動に追従するテレプレゼンス走行系の設計と試作を開始した.昨年度購入のDouble社のテレプレゼンスロボットを基準機としての対比走行によって追従性と歩行没入性を検証する実験を開始した.歩行時のヒト挙動に出現するワーストケースとしての側方加速度0.4Gへの追従性を中心に,歩行移動のリアリティ保持要因を解析する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付額の削減によって試作機の大幅な設計変更を余儀なくされている点が大きい.当初予定していたリンク式脚機構によるテレプレゼンス可能領域の拡大,という大テーマを変更して,車輪走行系によるホロノミック全方位制御性の限界究明にテーマを切り替えざるを得なかったために,大がかりな計画変更に迫られた. 代わりに試作した電子制御走行系は試作と変更が容易である代わりに,機械走行系としての走行可能条件が狭く,実験は整地平面中での検証に限定されている. 本研究では,整地平面中での車輪走行系において普遍な課題である加速度限界に焦点を当て直すことで,全方位への加速度制御性と並進最高速度を共存させる車輪走行系の複合的な走行モードの設計に成功した点で,研究計画変更のビハインドを上回る成果を上げたものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
交付金が復活せず試作費用をリカバリーできない状態では,機械リンク式脚を導入した走行系試作機による検証はほぼ不可能であるため,最終年度では主に整地平坦地環境において,電子制御系による走行モードの自在制御性を生かしたテレプレゼンス歩行体験への追従性と没入性の検証を中心に研究を進める.
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