2016 Fiscal Year Research-status Report
超並列ストカスティック演算に基づく大規模な人間的視覚処理ハードウェア実現への挑戦
Project/Area Number |
16K12494
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鬼沢 直哉 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (90551557)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ソフトコンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模な人間的視覚処理ハードウェアを実現するために,本年度は脳のV1領域での特徴抽出処理(2次元ガボールフィルタ)をストカスティック演算で実現する計算アルゴリズムの考案を行った. 本研究者によってすでに提案されている,1次元ガボールフィルタのアルゴリズムを拡張させることで,2次元ガボールフィルタのアルゴリズムを実現した.実現するにあたり,従来アルゴリズムでは周波数等いくつかのパラメータが固定となっていたが,人間のような幅広い空間周波数成分を抽出するために,パラメータの可変化を行った.つまり提案のアルゴリズムでは,ハードウェア実装後に動的にガボールフィルタの特性を変化させることが出来る. 従来手法の一つとしてCORDICを用いた可変ガボールフィルタが提案されているが,計算量が多くハードウェア規模が大きくなってしまい,結果としてスループットが低下してしまう問題があった.これに対して,提案ストカスティック可変ガボールフィルタは,ストカスティック演算を活用することで,小規模なハードウェアで実現可能となった.その研究成果は国際学会ESSCIRC2017に投稿中である. また,提案フィルタと入力信号との間で行われる畳み込み演算(乗算+加算)のハードウェア化にも取り組んだ.ストカスティック演算では,加算器にMUXを用いることで小規模な回路実現が可能となるが,入力数の増加に伴って演算精度が大幅に低下する問題があった.この問題を解決するために,加算を指数関数軸で行うことで,加算を乗算に置き換えるハードウェアアルゴリズムを考案した.ストカスティック演算における乗算は,加算のような演算精度低下の問題が小さいことから,入力数が増加した場合においても精度よく演算可能である.この成果は,学術論文誌Journal of Signal Processing Systemsに掲載決定となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は,当初の計画通りに脳のV1領域での特徴抽出処理(2次元ガボールフィルタ)の,ストカスティック演算による計算アルゴリズムを考案し,MATLABによるシミュレーション検証を行っている. また,フィルタ係数と入力信号との畳み込み演算部分のハードウェア化にも取り組み,入力数が増加しても演算精度が低下しないハードウェアアルゴリズムを考案している. さらに,次年度に予定していたVerilog-HDLを用いたハードウェア実装にも取り組み,その性能評価を行っている. 上記のような理由で,当初の計画以上に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度は,前年度に考案したアルゴリズムをベースに,FPGAボードを用いた超並列ガボールフィルタ処理の実装に取り組む予定である. FPGAボードとしては,大規模なハードウェアを実装可能なXilinx社VC707評価ボードを用いる予定である.FPGA上で正しくガボールフィルタが生成されているかどうかの検証として,MATLABによるソフトウェアシミュレーションでの結果との比較を行う. また,提案ハードウェアの性能評価・比較を行うために,従来方式によるガボールフィルタも同一FPGAに実装・評価を行う予定である.
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Causes of Carryover |
今年度は,ストカスティック演算に基づく脳のV1領域での特徴抽出(2次元ガボールフィルタ)のアルゴリズムを考案し,その研究成果を国内研究会等で発表予定であった.しかしながら研究計画以上に進展した結果,アルゴリズムのみならずハードウェア実装までH28年度内に行えることがわかったため,アルゴリズムのみの成果発表ではなく,ハードウェアも含めた研究成果として発表を行うこととしたため,未使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため,ハードウェアも含めた研究成果は本年度内の国内研究会ではなく,次年度での国際学会(ESSCIRC'17に投稿中)で行うこととし,未使用額はその経費に充てることとしたい.
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Research Products
(15 results)