2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K12502
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高松 淳 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (90510884)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヒューマノイドロボット / 動作スキル / 不確かさ / 学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者側では、重い物体を操作する際のヒューマノイドの動作生成に取り組んだ。物体操作のための手先力および手先の軌道を入力として与えることで、全身動作をリアルタイムに生成する方法を提案した[業績1-3]。具体的には、1. 入力された手先力・手先軌道の情報から予見制御を用いて、重心の軌道を生成する方法、および2. 解析的逆運動学を部分的に取り入れた分解角運動量制御の高速解法を、組み合わせて用いることを提案した。これらの成果を国際会議で2件、国際ワークショップで1件発表した。これらは平成29年度の目標であるより高度な力制御を実現するための基礎技術となる。 研究者協力者側では、不確かさを含めたダイナミクスのモデル化手法の開発を行った[業績4]。これはニューラルネットワークを拡張したものであり、ノイズなどによって生じる誤差分布のモデル化、および入力に不確かさがある場合の出力確率分布の計算手法を確立した。さらに[業績4]では、開発したニューラルネットをダイナミクスモデルの学習に用い、方策を微分動的計画法によって求める、モデルベースの強化学習手法を開発した。[業績5]では、シンボルレベルでのスキル表現を可能とするため、グラフ構造で表現されるダイナミカルシステムに対して微分動的計画法によって方策を求める手法を開発した。[業績4]と組み合わせて用いることが可能であり、不確かさの伝搬を考慮した上で、最適なスキルの選択とスキルのパラメータの最適化が可能となった。簡略化された物押しタスク、注ぐタスクなどで手法の有効性を検証した。これらの成果を国際会議で2件発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者側では、重い物体を操作する際のヒューマノイドロボット特有のダイナミクスモデルを構築することに成功した。本提案では、新たな機械学習手法の確立も主眼の一つであるが、それを実際のヒューマノイドロボットを用いて実現することも重要である。本年度は、全体目標を達成するため、物体側の不確実性を極力減らしたうえで、ヒューマノイドロボット側に存在する不確実性を排除することに注力した。結果、39kgと軽量なヒューマノイドロボットHRP-4を用いて10kgの箱を押すことに成功した。このことから、ヒューマノイドロボット特有のダイナミクスモデルを構築することには成功したといえる。 研究者協力者側では、不確かさを含めたダイナミクスのモデル化手法、不確かさを制御する手法、およびスキルが複数存在し、スキルの選択も含めた動作計画を行う方法を開発した。シミュレーションレベルではあるが実証実験にも成功している。 両者の成果と組み合わせることで、ヒューマノイドロボットによる押し動作などのタスクで、不確かさの制御が達成できると考えており、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者側では、平成28年度に構築したヒューマノイドロボット特有のダイナミクスモデルを用い、押し動作の際に物体の不確実さを増やしていくことで、不確実さに対する頑健性を実現することから始める。次に、不確実性の少ないドア開けタスクの中で、直線以外の手先軌道、時々刻々と変化する手先力方向を入力とした際のモデルの検証を行う。最後にドア開けタスクの中に潜む不確実性を研究協力者の協力を得て解決していく。 研究者協力者側では、ドア開けのダイナミクスモデルが与えられたという想定で、不確実なモデルパラメータ(ドアの軸など)の同定を行う手法を開発する。扱う対象のドアが1種類だけなら既存の状態推定手法で解決できるが、我々は複数種類のドアおよびスキルを想定しているため、グラフ構造によって記述されるダイナミカルシステムにおける状態推定手法を開発する必要がある。今年度は、短期合同研究を実施し、両者の成果を統合する。
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Causes of Carryover |
研究室で所有しているものを最大限再利用することで物品費を抑えられたことが大きい。次年度使用額は少額であり、無理に使う必要はないと判断した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額も少額であるため、次年度の使用計画は大きくは変わらないが、短期合同研究を推進するため、旅費、人件費にあてる予定である。
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