2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K12506
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂本 修一 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (60332524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 誠 東北福祉大学, 総合マネジメント学部, 教授 (40326715)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 感性情報学 / コミュニケーション工学 / 感性・ヒューマンインタフェース / 音響情報処理 / マルチモーダルインタフェース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,人間が無意識,かつ,瞬時に判断する場の雰囲気を,聴覚科学の観点から科学的に分析し,その知見に基づいて雰囲気を積極的に創出する雰囲気ジェネレータの試作を目指すものである。 平成28年度は本研究期間の初年度にあたることから,研究期間を通して使用する音環境の収録と,視覚障害者に向けた場の雰囲気知覚手がかりを探るアンケート調査を実施した。音環境の収録にあたっては,事前の予備的な検討を通してどのような場面を収録すべきかを検討したところ,まずは多くの研究者によって様々な研究の題材として扱われ,過去の多くの知見を有している高感性音環境がよいであろうという結論に達し,コンサートホールの音環境の収録を行った。収録環境に球状マイクロホンアレイを設置し,ステージからのインパルス応答を録音することで,実験室内でもヘッドホンを通して簡便に,かつ,高精度にホールの音環境を提示することが可能となった。 一方アンケート調査に関しては,協力が得られた視覚障害者関連の支援団体を通して,視覚障害者がどのように場,および,場の雰囲気を知覚しているのかを調査するアンケートを実施し,年度末に一通りの回収を終えたところである。アンケート結果の分析は平成29年度に行う予定であるが,実際に視覚障害者が場の雰囲気を知覚する際に使用する情報を直接聞いたほか,具体的な場面や,「落ち着いた雰囲気」等の感性的な表現で記述される環境を知覚する際の手がかりについても回答を求めており,平成29年度に実施する研究の重要な基盤となるものと考えている。 平成29年度は,収録した音環境やアンケート分析結果を活用し,実際に場や雰囲気を知覚する際に活用する音情報の同定,抽出を進め,それらの提示技術の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は最終年度に向けた素材収集という準備期間の意味合いが強い年度であり,対外発表に関しては最終年度に行うことを想定していた。そのような観点から考えると,音環境の収録,アンケート調査の実施等,初年度の目標として掲げた内容は概ね実施することができた。 したがって,おおむね順調に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成29年度は当初の予定通り研究を遂行していく。アンケート調査の分析を進め,必要であれば音環境のさらなる収録も合わせて行って,それらを活用して場や雰囲気を知覚する際に使用する音情報の同定,抽出を進める。得られた知見に基づき,人間が場や雰囲気を知覚する際の知覚モデルの一端を明らかにして,モデルを規範とした音情報の提示技術の確立を進めていく。
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Causes of Carryover |
アンケート調査や音環境収録に関して実験協力者に対する謝金をある程度計上していたが,謝金なしで協力を得られた機関が多数あったこともあり,これに絡む一連の謝金,準備に必要な消耗品等に計上した予算を次年度に繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アンケート調査結果の分析に必要な統計解析ソフトウェアや,知覚心理実験に使用する各種音響機器の購入に充当する。特に音響機器に関しては,聴取実験で得られる結果の精度にも関連する重要な機材になること,かつ,実験をスムーズに行う上ではある程度のバックアップを準備する必要があることから,提示すべき音情報に適した機種選定,購入を勧めていく。
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