2017 Fiscal Year Research-status Report
コントラスト・インパクトによる上衣と下衣の対比印象度の定量化
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16K12507
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
阿山 みよし 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30251078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 智治 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90343186)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コントラスト・インパクト / 衣服 / 対比印象 / 感性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
街頭観察から、ほとんどの人が上衣と下衣のどちらか又は両方に無地を選び、もう一方には明度差のある無地か、模様の一部に上衣と明度差がある柄ものを着用していることに気づいた。そこで、上衣と下衣の直感的な対比印象の度合いは無地・柄に関わらず1次元的な尺度化ができるのではないかと考え、これを「コントラスト・インパクト」と呼び、その定量化を試みている。 H28年度に作成した高さ65cmのミニボディに合う布製の上衣と下衣を用いて引き続き実験を行った。下衣は黒無地ギャザースカートで上衣は柄物ブラウスである。上衣の色は無彩色系、赤系、ピンク系、黄系、緑系、青系の6色で各々大きい花柄、小さい花柄、ギンガムチェックの3種(18種)を準備した。マッチング刺激としては、テスト刺激と同じ形状、下衣は黒無地で上衣は明度の異なる無彩色6種を準備した。評価実験でテスト刺激とマッチング刺激を一つずつ提示し、どちらの対比印象が強いかを判断させた(一対比較法)。同時に9種の感性評価語「落ち着いた/爽やかな/地味な/明るい(視覚的)/目立つ/かっこいい/かわいい/上品な/清楚な」について7段階での主観評価をさせた。全刺激の上衣部分と下衣部分の2次元測色を行って解析した結果、細かい模様ではほぼコントラスト・インパクトは明度差で説明できるが、鮮やかな色彩が一定面積以上ある場合には、明度差にクロマ差が影響することがわかり、CIELAB metric chromaおよびカラフルネスを導入した定式化を試みている。次年度に向けて同じ柄で色の異なるテスト刺激作成を始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一対比較法により「対比印象の強さ」を判断することは可能であり、コントラスト・インパクト測定の実験手法はほぼ確立された。しかし上衣テスト刺激の小さな花柄が色毎に異なることは、測色値からコントラスト・インパクトを定量化する際に問題であり、同じ柄で色の異なるテスト刺激作成の検討を始めた。またこれまでの実験での被験者からの意見で、テスト刺激のような組み合わせは自分では着ないという意見が複数あったので、組み合わせとしての「違和感」評価を行ったところ、緑とピンクの上衣と黒スカートの組み合わせで違和感が比較的高い評価となり、今後の検討が必要である。さらにH28年度の実験では半数以上の場合にテスト刺激の方が対比印象が強い回答となったので、テスト刺激のコントラストを下げる必要が生じた。現在下衣刺激としての適切な灰色を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
家政系の女子大学の協力を得られることになり、研究が新たに発展している。同じ柄で、柄の大きさや色が異なる布地作成およびそれらを用いたミニチュア衣服製作の目処がついたので、新しいテスト刺激作成を始めている。今年度は、上衣と下衣の組み合わせとしてできるだけ「違和感」がなく且つ測色値との定量的関係を分析しやすい組み合わせを十分に吟味し、その上で新しい刺激群を用いて対比印象評価実験を行う。また測色も実施し、測色値とコントラストインパクトと感性評価の相互関連を明らかにしていく。当初計画にはなかったが、家政系女子学生と工学系女子学生での実験を行い、服装への関心の高さも調査し、その比較検討も行う。
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Causes of Carryover |
H28年度の成果を国際色彩学会で発表したので旅費は当初予定通り使用した。2次元色彩輝度計を用いて、上衣と下衣部分の測色を行い、その結果とコントラスト・インパクトおよび9種の感性評価結果との関係の解析を重点的に実施し、また新しい刺激作成の模様・サイズ変化・布地などの詳細な検討を行っていたので消耗品や謝金が当初予定より少なかった。以上の理由から次年度使用額が生じた。 新しい刺激群の作成、家政系女子大学への旅費と実験設備輸送費、被験者謝金、および感性工学会や視覚基礎研究会での発表用の旅費に使用予定である。
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