2017 Fiscal Year Research-status Report
物体の力学的表情による印象形成過程の解明(ディープラーニングによる実証的考察)
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16K12517
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
平 俊男 奈良工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (60280426)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 形状の印象 / 力学的表情 / 感性情報学 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般にデザインは,いわゆるセンスの問題として属人的に取扱われているが,人が製品から受けている印象には,その形態の力学的合理性などから客観的に説明できるものも多い.本研究は,製品の形状から印象が形成される過程において,その製品内部の力学的負荷の空間的分布のパターンが,人には力学的表情として認知されているとの仮説をたて,形状と印象との関連付けをディープラーニングによって実証的に検証しようとするものである.得られた印象形成モデルは,デザインにおける直観的言説の客観的な表現となり,さらに,実務者による印象形容との比較を行うことで,人の創造的行為に対する理解を深められると考えられる. 2年目となる平成29年度には,初年度に構築した,3次元スキャナによって計測された複数の既存容器形状から進化計算法的に新規形状を創成するシステムを用い,多様な形状に対する印象と力学的評価との関連付けを試みた.新規形状の印象に関しては,汎用の深層学習モデルをブラックボックスとして用い,創成された形状の写実的レンダリング画像を入力した場合の出力キャプションとそのスコアを手がかりとした.力学的評価としては,新規形状に対する構造解析で得られる応力分布を用い,その分布の偏りなどを検討した.これらの結果からは,定性的観察にとどまってはいるが,深層学習モデルによって「よりもっともらしい」とキャプション及びスコアによって評価された形状は,それらの応力分布の偏りに類似がみられることが示唆されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多様な容器形状レンダリング画像に対して汎用の深層学習モデルを用いてキャプション付けを行い,そのキャプションに対するスコアがその形状のもっともらしさを表せることを示した.また,このもっとらしさと形状の力学的特徴量との間には関連が見出せることを示した.ただし,本研究で立証しようとする力学的表情は,1次元的な特徴量ではなくパターンとして認識されていると考えており,パターンとしての特徴量の取扱いを検討中である.
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Strategy for Future Research Activity |
現在公開されている汎用の深層学習モデルでは,印象のような主観的形容に関しては中立となるような学習がなされているため,その画像に対するキャプションのような客観的表現を手がかりとして用いざるを得ない状況にある.印象の収集に関しては並行して工芸実作者による印象形容を収集する計画をたてているが,その結果の従来的手法による分析との摺り合わせが今後の課題となると考えている.
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