2017 Fiscal Year Research-status Report
低資源下における保健医療サービスの質改善効果判定方法の実証研究
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16K12541
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
村井 真介 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 医師 (00506644)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 医療サービス / 行政サービス / 品質管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
新興国と開発途上国の医療現場では医療の質・安全を確保すべく職員の管理・改善能力の基盤を醸成する質改善活動を実施している。しかし、その改善効果判定方法は主観的あるいは統計分布を仮定するものであり、根拠に基づく質改善を進めるにはより客観的な判定方法が必要である。本研究では、(1)対象機関(病院と行政)の業務運用プロセスの運用実績をモニタリングし、その改善効果の判定に際して、(2)視覚的証拠による判定と統計分布を仮定しない検定方法による判定との差異がどの程度生じるのかを分析する。 本研究の目的は、統計分布を仮定せずに統計的に質改善活動の効果を判定する方法を構築し、その判定能力の実用性を実証的に明らかにすることである。 本年度は、(1)業務の発生頻度が低いフィリピンのルーチン保健情報システムを対象にパラワン州22市からの四半期報告書の提出遅れ(過去20年間の1,760ケース)の挙動を分析しながら投稿論文の執筆を続けた。ベトナムおよびラオスでは、(2)より業務の発生頻度が高い病院サービスを対象に時系列データの収集を進めた。ラオスでは、病院カルテの記載遵守率のデータを判断抽出法(Judgment Sampling)で1年間収集した。業務プロセスおよびサンプルを生成する統計分布が改善活動によって変化しやすい医療現場で観察される改善効果に対して、判断抽出法の意義を主張するとともに、視覚的証拠を裏付ける統計的証拠の条件を分析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フィリピンのルーチン保健情報システムの四半期報告書の提出遅れの経時変化は、順列組み合わせ検定(Permutation test)を用いればパフォーマンスの中央値と四分位範囲の双方を検定できることが確認できた。一方で、22市の提出遅れを扱っているため、経時変化によって市の挙動をいくつかのグループに分類できる可能性があり、時間的な推移を考慮したクラスター分析を検討している。 ベトナムおよびラオスのデータは日常業務からデータを収集したため、病院から研究への使用許可を得る必要があり、その手続きを進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年7月末までに、フィリピンのルーチン保健情報システムの運用データに関する論文を投稿する。ベトナムとラオスでは、使用許可が得られたデータのみを分析対象に加える。平成30年10月末を目処に、業務プロセスが改善活動の度に変化することで統計分布が定常とはなりづらい医療現場の改善活動に対して判断抽出法(Judgment Sampling)によるデータ収集と順列組み合わせ検定(Permutation test)による解析の適用をテーマとした論文を投稿する計画である。
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Causes of Carryover |
当該年度中に予定していた学術大会への参加費、論文の校正および投稿料が研究の進捗が遅れて支出できなかったため。 本年度中に論文の校正および投稿料として支出する。ラオスとベトナムにおけるデータ収集や現地調査員の移動、研究協力者との打ち合わせに必要な移動に支出する。
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