2017 Fiscal Year Research-status Report
絵本に対する子どもの認知発達的反応事例を提示する絵本推薦システムの研究
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16K12547
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宇津呂 武仁 筑波大学, システム情報系, 教授 (90263433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 孝司 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60397031)
齋藤 有 聖徳大学, 児童学部, 講師 (60732352)
上原 宏 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (00776065) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 絵本推薦 / 発達心理学 / 情報推薦 / 自然言語処理 / 読み聞かせ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,絵本レビューにおいて母親が描写した子どもの認知発達的反応に対して,発達心理学の知見に基づく類型化を行い,それらの発達的反応事例を推薦理由として母親に絵本を推薦する方式について研究を行う.平成29年度は,以下の研究を行なった. 絵本推薦システムの仕様設計のための事例研究として,子どもの認知発達的反応の中でも,1-2歳代の子どもにおいて頻出する「指差し」反応に着目した.そして,絵本レビューにおいて「指差し」反応が高頻度で観測された絵本として「きんぎょがにげた(五味太郎作,福音館書店)」を対象絵本として,1-2歳代の子どもを対象とした絵本読み聞かせ後の絵本レビューデータから収集した33エピソード,および,1歳1ヶ月から2歳4ヶ月の子どもに対して母親が読み聞かせを行った様子を撮影した映像データから収集した,「発声を伴う指差し」の76エピソードの比較分析を行った. 絵本レビューデータおよび絵本読み聞かせ映像データの比較分析においては,「発声を伴う指差し」の機能を10種類に分類し,その頻度分布の比較分析を行った.その結果,特に高頻度な機能の頻度分布における大局的な比較分析においては,両データの間で十分な相関が見られ,絵本読み聞かせ映像データに対する絵本レビューデータの信頼性が十分に認められた.これにより,絵本レビューデータにおける子どもの反応を推薦根拠として絵本推薦システムを設計することの正当化を確認することができた.また,それ以外の詳細な比較分析においては,相対的に低頻度な機能における頻度分布の割合において,絵本読み聞かせ映像データにおける割合の方が相対的に高い傾向が見られ,この点に関しては,絵本推薦システムの仕様設計における補正が必要となることが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の概要で述べた通り,絵本推薦システムの仕様設計のための事例研究として,子どもの認知発達的反応の中でも,1-2歳代の子どもにおいて頻出する「指差し」反応に着目し,絵本読み聞かせ後の絵本レビューデータから収集したエピソード,および,母親が読み聞かせを行った様子を撮影した映像データから収集した,「発声を伴う指差し」のエピソードの比較分析を行った.以上の成果を達成し,その内容を発表することができたため,概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,平成29年度に行った「絵本推薦システムの仕様設計のための事例研究」をふまえて,絵本レビューにおいて子どもの認知発達的反応の記述数の多い絵本を中心とした絵本推薦方式の設計および実装を行う.さらに,絵本推薦方式の検証実験を行い,絵本レビューにおける子どもの認知発達的反応の記述傾向と,絵本読み聞かせ映像データにおける子どもの認知発達的反応の観測傾向との比較分析を行う方式を確立する.
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Causes of Carryover |
平成29年度,1-2歳代の子どもにおいて頻出する「指差し」反応に着目し,絵本レビューにおいて「指差し」反応が高頻度で観測された絵本として「きんぎょがにげた(五味太郎作,福音館書店)」を対象絵本として,1歳1ヶ月から2歳4ヶ月の子どもに対して母親が読み聞かせを行った様子を撮影した映像データを収集するために経費を使用したが,この作業経費が当初予定よりも低コストに抑えることができたため,その差額を次年度使用額として繰り越した.次年度の使用計画としては,1) 絵本推薦方式の設計・実装のための人件費および計算機関係消耗品費,2) 母親による絵本読み聞かせ映像データ収集のための経費,3) 成果発表旅費,を予定している.
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Research Products
(5 results)