2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Extracting Japanese Public Norms
Project/Area Number |
16K12550
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
西出 哲人 兵庫県立大学, 会計研究科, 教授 (60264834)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大衆規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新聞に掲載されている4コマ漫画から、日本の大衆社会に暗黙的に流布している大衆規範を明示する方法を探索している。 平成30年度は、作業を支援するシステムを作成し、実際に作品のプロファイルの作成を試みた。プロファイルとは、1話ごとに描かれている情報の記録である。平成29年度の活動から、4コマ漫画に描かれている情報は当初想定していたものよりも膨大なことがわかった。そこで、研究の目的を鑑み、依頼・命令に関連する情報について、4コマ漫画から抽出・記録することにした。 支援システムは、仮想マシン上のウェブアプリケーションとして作成した。その際、pythonのフレームワークであるDjangoを利用した。支援システムは、4コマ漫画を閲覧しながら、選択的に入力できる手段を提供している。選択肢は常に追加・修正でき、入力や選択肢の変更の時刻を記録・管理できる。また、支援システムは、複数人が並行して作業する環境も提供する。 支援システムを利用して試作したプロファイルから、大衆規範の存在を予期させる事例が得られた。例えば、依頼行為に同意で応える事例が多く見られ、この応答が基本となっていることが推測された。そして、この応答から乖離する場合には、緊張感が生じている事例が得られた。これらの事例は、社会的な圧力としての大衆規範の存在を示している可能性がある。以上から、4コマ漫画から大衆規範を導くことに、潜在力があることがわかった。ところで、プロファイルの作成や、大衆規範を導くプロセスには、属人的な解釈に依存する部分が多くある。これに対して、支援システムを利用することにより、社会現象の解釈に関する試行錯誤の過程が記録できることがわかった。今後、①支援システムのリファクタリング、②作業実績の蓄積による選択肢の調整、③統計的な手続きを確立することにより、大衆規範の明示方法の洗練化が期待される。
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