2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K12565
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
橋本 英治 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (50218418)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アイトラッキング / まんが / 視点注視 / wpf / c# |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度はアイトラッキングシステムの基礎的構築のための整備を行った。 (1)TOBIIトラッキングデバイスを使って、アイトラッキングのプログラム作成を行った。開発環境はvisual studioを用い、WPF・C#によってアプリケーション開発を試みた。実験装置はWindows8.1 のPCシステムに決定(大学所有の機材の関係による)。プログラムにより表示された画像(まんが作品)のどこに注視しているか、その座標のサンプリングもほぼ取得可能になった。サンプリング座標を確認するため、注視点再生のプログラムもほぼ完成している。3月の段階では作成プログラムを使用して実験が可能かどうかの予備実験を行った。 (2)実験に際して使用する資料(まんが作品)の選定を行った。実験時間は1時間程度とし、単行本一冊約190ページの作品を選定した。さらに、内容にかたよりが生じないように、ジャンルの違う以下の3作品とした。『ブラックジャックによろしく』佐藤秀峰 青年まんが系、『リトルウィッチ』 藤原ゆか 少女まんが系、『[クー]』シヒラ竜也 SFファンタジー系。この作品選定に関しては、著作権の問題があり出版社集英社の権利関係担当部署との交渉でその権利をクリアにした。 (3)神戸大学大学院国際文化学研究科との連携により 国際文化学研究推進センター研究プロジェクト「領域横断的映画研究の推進」第6回研究会 「人はまんがのどこを見ているのか~アイトラッキング(視線追跡)による試み~」の発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)アイトラッキングのデバイスはアメリカより6台購入済み。実験用のwindowsPCとデバイスを接続するUSB3ポートも6台購入済み。既にパイロットマシンでデバイス作動実験も終了している。アイトラッキングを制御するプログラムもほぼ開発は終わっている。予備実験でwindowsPCで動作確認も終了し、細かな点の修正を残すのみである。 (2)商業まんがを実験に使用する権利のクリアは解決している。権利保持者の集英社よりデジタル化、学会発表等にその画像を使用する際(権利が発生した)ごとに、使用料を支払うことになった。そのため2016年に支払う予定の予算は執行されない状況にある。 (3)予備実験は終了しているが、本実験にはまだ入っていない。特にページをめくる行為をより読書としてのまんがに近づけるためにタッチパネルの開発の必要性を認識している。この点は至急解決しなければならない課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験は2016年度にほぼ完了している。2017年、2018年は以下のような方針で実験を行う予定である。 (1)ハードウエアの整備。今後は、複数の被験者に実験を行うために大学所有のwindowsPCにアイトラッキングデバイス、USB3の装着を行い本実験を開始することになる。また、アイトラッキングによる注視点の抽出実験等、大量のデータが生成されるので、2018年前期中にファイルサーバの構築を完了する必要がある。これは、大学既存のネットワークを利用するために容易に実現できるはずである。 (2)ソフトウエアの整備。2017年にアプリケーションはほぼ完了しているため、若干のプログラムの修正(タッチパネルの導入)を行うのみである。 (3)本実験について。被験者の都合を考慮し、夏休みに集中的に本実験を行う予定である。実験試料は3種類のまんがであり、既に選定は終わっている。『ブラックジャックによろしく』、『リトルウィッチ』、『[クー]』の3冊である。『リトルウィッチ』、『[クー]』については著作権がクリアになったので、2017年5月にはデジタル化を行い8月の実験準備に備える予定である。 (4)2018年は実験結果の分析、研究結果の発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
(1)実験に使用するサーバの導入が年度を跨いでしまったため物品費の執行が少額となった。その理由として2016年は予備実験のためサーバ使用が必須でないために導入を延期した。また、大学内のLANが整備されており、サーバ導入に係る設定等が簡易化したことも早期導入を見送った理由である。 (2)実験に使用する書籍(まんが単行本)の著作権から発生する権利料の支払いを2016年に予定していたが、著作権者である集英社との話合いの結果、その権利が発生した都度に支払うことになったので、2016年度の執行はなくなった。2017年、2018年に支払が発生するはずである。この権利の話合いのため、書籍のデジタル化の執行も2016年度におこなうことが出来なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(1)実験に使用するサーバは2017年早々に導入予定である。本実験の際使用を予定している。設置、運用実験等も速やかに行う予定である。 (2)実験に使用する書籍(まんが単行本)の著作権から発生する権利料は2017年2018年にかけて継続的に著作権者に支払う予定である。また、書籍のデジタル化も2017年度早々におこなう予定である。
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