2016 Fiscal Year Research-status Report
海洋における生物起源ケイ素と有機物の新規相互作用の解明
Project/Area Number |
16K12579
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 浩史 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50260518)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生元素動態 / 海洋有機物 / 生物地球化学 / 海洋有機物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、海洋におけるケイ素の存在形態の中で、これまで全く知られていなかったコロイド態のものの生成過程と有機物との相互作用に着目した研究を進める。本年度は、珪藻プランクトンの分解過程においてコロイド態ケイ素が生成するという仮説を検証するための実験系をデザインし、2016年7月に、小笠原沖の亜熱帯海域の定点(北緯27度東経144度)で実施した新青丸KS-16-9次航海(主席:小川浩史)の船上において珪藻ブランクトンを採取・濃縮し、それを用いて分解実験を行い、分解過程におけるタイムコースの試料を得た。船上では、細菌群集の分解活性を知るために、3H-標識したロイシンの取り込み速度を測定した。 また、本航海では、定点における9日間の昼夜連続観測を行い、その間にCTD採水システムにより、表層300m内の各層採水を6時間間隔で実施した。その間の溶存態ケイ素の時系列変化の試料を採取し分析を行った。現在得られたデータを解析中であるが、このデータをもとに、溶存態ケイ素の珪藻プランクトンによる取り込みや表層内での分解による溶存態ケイ素への回帰のプロセスについて考察を進め、コロイド粒子の存在の可能性についてケイ素の収支の面から検討を行う。なお、同乗した共同研究者により、基礎生産速度、従属栄養細菌群集による有機物分解活性、生物起源ケイ素(粒子態ケイ素)の試料の採取と分析が行われているので、互いにデータを共有し、これらのデータと統合して、ケイ素の動態全般に関して解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
船上において現場海水中の珪藻プランクトンの分解実験を行い分解過程の試料を得たので、仮説検証するための材料は揃った。しかし、研究協力者として期待していた大学院学生が、個人的な理由により年度途中から研究に参画できなくなったため、試料の分析はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
新青丸KS-16-9次航海で得た珪藻プランクトンの分解過程におけるタイムコース試料の分析を進め、そのデータの解析結果を基に次の実験のデザインを行う。次の実験は、2017年7月に予定している白鳳丸KH-17-4次航海で、同様に現場珪藻プランクトン群集を採取し分解を行う。得られた試料について下船後に分析を進め、これまでの実験結果と統合し最終的な仮説検証を行う。必要に応じて沿岸から試料を採取し補足実験を追加し、検証の補強を行う。
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Causes of Carryover |
研究協力者として期待していた大学院学生が、個人的な都合により、年度途中から研究に参画できなくなったため、当該学生が担当予定していた分析作業が減りその分に相当する経費が計画より少なくなった
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として試料分析のための消耗品費(試薬代、プラスチック容器など)および分析補助のための謝金として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)