2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of novel interaction mechanism between biogenic silica and organic matter in the ocean
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16K12579
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 浩史 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50260518)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生元素動態 / 海洋生物地球化学 / 物質循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、白鳳丸KH-14-3次航海(2014年6-8月、主席:小川浩史)において行われた、西経170度線上赤道~チャクチ海間を縦断する中部北太平洋の南北断面観測において採取した粒子態生物起源ケイ素(PBSi)とコロイド態生物起源ケイ素(CBSi)の試料(計65個)の分析を行った。そして、CBSiの存在濃度、鉛直・南北分布の特徴を明らかにし、PBSiの分布との関係を調べた。PBSiは、船上にて>10umの大型粒子(L-PBSi)と1-10 umの小型粒子(S-PBSi)に分け、CBSiについては、0.1-1umの画分として、それぞれメンブランフィルター上に捕集した。L-PBSiの濃度は、深層(>500m:4.7±4.9 nM)、亜表層(100-300m: 24±39 nM)に比べ、表層(< 50m: 912±1666 nM)で明らかに高く、また海域の違いによる大きな変動が示された。S-BSiの濃度は、表層(199±391 nM)、亜表層(16±27 nM)ではL-BSiより低く、その分布は概ね類似していたが、深層(12±15 nM)では最大5倍程度L-BSiより高い濃度を示した。一方、CBSiの濃度は、表層(8.9±7.7nM)、亜表層(5.5±3.2nM)では、概ねPBSiよりも低く、海域による違いも相対的に小さかった。また深層(7.5±4.9 nM)でも同程度の濃度が維持されており、鉛直的な変化も少ない特徴を示した。全BSiに占めるCBSiの割合は、表層(14±17%)、亜表層(26±17%)に比べ、深層(39±24%)で高く、深層ではCSiの相対的な寄与が高まることが示された。以上の事から、海洋には、これまで存在が明らかでなかったCBSiが、赤道から北極にかけての広い海域、また表層から深層まで、概ねnMオーダーの濃度レベルで安定して存在していることが明らかとなった。
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Research Products
(9 results)