2016 Fiscal Year Research-status Report
オープンパス超長光路吸収分光法を用いたエアロゾルおよび雲粒計測装置の開発と応用
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16K12581
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中山 智喜 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 講師 (40377784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松見 豊 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (30209605)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 環境変動 / 気候変動 / 環境分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、超長光路吸収分光法であるキャビティリングダウン分光(CRDS)法を用いたオープンパスタイプの消散係数計測装置を新規に開発し、観測試験を実施することにより、開発した装置がエアロゾル粒子の吸湿成長・雲粒生成過程やフラックスのリアルタイム直接観測に適用可能であることを実証し、その有用性を示すことを目指している。 本年度は、CRDS法を用いたオープンパスタイプの消散係数計測装置を設計し、プロトタイプ器の製作を開始した。オープンパスCRDS装置では、粒子の検知部分である光学キャビティを屋外に置く必要があるため、降水など悪天候条件下でも測定が可能な設計にした。また、エアロゾルや風雨による高反射率ミラーの反射率低下などの影響を避けるために、高反射率ミラーの周囲にパージガスを低流量で流せるようにするとともに、高反射率ミラーと周囲の光学系を覆うように雨よけ用のボックスを設置した。また、粒子のない条件下でのバックグラウンド計測を定期的かつ自動的に実施することが可能となるように、自動開閉が可能なセルを設計した。開閉可能なシステムの設置は、次年度に行う予定であるが、現状のプロトタイプ器で、エアロゾル消散係数が高精度かつ高時間分解で測定できるか確認するため、実大気粒子および実験室で発生させた硫酸アンモニウム粒子を用いた性能評価試験を行なった。その結果、6 Hz程度の高い時間分解能で、実大気濃度レベルの粒子の消散係数を高精度に測定できることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オープンパスCRDS装置の設計および製作が概ね順調に進んでいる。また、製作の途中段階で性能評価試験を実施し、高い時間分解でエアロゾル消散係数を精度よく測定可能なことが確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
オープンパスCRDS装置のプロトタイプ器の製作を引き続き行うとともに、製作したプロトタイプ器の性能評価試験を行う。また、開発した装置の有用性を示すために、実大気観測試験を実施し、高湿度環境下でのエアロゾルの吸湿成長過程の観測や、エアロゾルのフラックス計測へ応用可能であるか評価する。
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Causes of Carryover |
購入予定の消耗品の一部を次年度に購入することにしたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
オープンパスCRDS装置の性能評価に必要な消耗品の購入費として使用する予定である。
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