2016 Fiscal Year Research-status Report
最先端電子顕微鏡法を駆使した福島原発由来Cs粒子の生成過程・移行挙動の解明
Project/Area Number |
16K12585
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宇都宮 聡 九州大学, 理学研究院, 准教授 (40452792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大貫 敏彦 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (20354904)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 福島第一原発 / セシウム / 微粒子 / MCCI |
Outline of Annual Research Achievements |
高濃度のCsを含有する粒子(Cs-rich micro-particles:CsMPs)はSiを主成分として炉内構成物や核分裂生成物から構成されており[2]、原子炉内で起こった化学反応に関する有用な情報を保持していると考えられる。CsMPsを高分解で詳細に分析することで、未解明の初期段階のCs化学種や反応プロセス、炉内環境の解明が可能になる。本研究では電子顕微鏡技術を用いたCsMPsのナノスケール分析により内部構造、構成元素、元素分布解析に基づき、CsMPsの生成過程と炉内環境の推測を行うことを目的とする。 本研究ではCsMPsを東京都で採取した大気フィルターと福島県で採取した土壌から単離した。各々の試料のオートラジオグラフィーを行い、放射能を放つスポットをカーボンテープで分離し、SEM-EDS、γ線測定後、FIBで超薄切片をつくり、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて詳細に分析した。 TEM-EDXの結果よりCsMPsは主にO、Si、Fe、Zn、Cs、Sn、K、Rb、Cl、Mn、Pbの元素から構成され、粒子内部ですべての元素がほぼ均一に分布していた。しかしCsは部分的に不均一に分布していた。また高分解観察をおこなったところ、マトリックスはSiO2で構成され非晶質であったがその内部に多数の結晶性を有するFe-Zn酸化物ナノ粒子がSiO2に溶解せずに取り込まれていた。また、Fe-Zn酸化物ナノ粒子にはCs、Sn、Clが吸着し、Uもそれらの粒子に吸着する形で粒子内に存在することが明らかになった。さらに粒子内部には核分裂生成物により構成されるナノ粒子の内包物が同定された。以上の結果からCsMPsが形成される前にFe-Zn酸化物および核分裂生成物ナノ粒子が炉内で生成し、溶融燃料とコンクリートが接触した際に生じるSiOガスがそれらを取り込み凝縮することで粒子形成が起こったことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究が軌道にのり、これまでにすでに2報を報告、1報提出済み、1報修正中と、当初の予想以上に成果が上がっているとともに世界中の一流の専門家たちを世界の英知を結集したチームが形成されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、成果を積極的に公表し、論文化をすすめる。またその成果をもってさらに発展した基盤研究にapplyする
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Causes of Carryover |
他研究費での調整がきいたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費、消耗品
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Caesium fallout in Tokyo on 15th March, 2011 is dominated by highly radioactive, caesium-rich microparticles2017
Author(s)
Imoto J, Furuki G, Ochiai A, Yamasaki S, Nanba K, Ohnuki T, Grambow B, Ewing R, Utsunomiya S
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: srp42118
Pages: srp42118
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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