2017 Fiscal Year Research-status Report
粒子飛行時間検出に基づくミクロン粒子分級技術の新規開発
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16K12587
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
竹川 暢之 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (00324369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三澤 健太郎 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (10431991)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 環境計測 / エアロゾル / ミクロン粒子 / 分級 / 空気力学粒径 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の実験で得られた波長1.0ミクロンのレーザーに対する単分散粒子からの光散乱信号に関する考察を行った。その結果、観測された光散乱信号のばらつきには、粒子種 (複素屈折率) の違いより粒子ジェット広がりが顕著に効いていることが分かった。 次に、平成28年度に設計した二波長レーザーに対応した光学チェンバーの実装および基礎性能評価を行った。当初予定では赤外域の波長1.0と1.6ミクロンを用いる予定であったが、実験の利便性を考慮して可視域の波長532 nmと635 nmを用いる構造とした。エアロゾルジェットを生成するためのシースエアノズルおよび流量制御系を組み込んで試作機を完成させた。上記の通り、本測定では粒子ジェットの広がり (レーザー幅に対する相対的広がり) が重要である。このため、光軸の調整を慎重に行った。 ネブライザーで粒径0.7ミクロンと2.0ミクロンのポリスチレンラテックス (PSL) 粒子を発生させて実験を行った。シースエア流量とサンプル流量の比は細いエアロゾルジェットを作る上で重要である。粒子飛行時間 (PTOF) 検出による粒径分離を行うためには、シースエア流量とサンプル流量の和を大きくする必要がある。ただし、流量を増やしすぎてノズル出口で乱流が大きくなると粒子ジェットの品質が低下する。粒径分解するために最適なシースエア流量とノズル流量を決定するために、様々な条件を試行した。しかしながら、現状の構造で最適値を見出すには至っていない。上記と並行して、関係する企業と協力しながら流体力学計算による検討を行ったものの、最適条件の決定にはさらなる検討を要することが分かった。これまでの研究成果については、平成30年度に行われる学会発表に向けて準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の主目的であるPTOF部の基礎実験は実施できたものの、粒径分解能を上げるための最適条件に関する実験および理論考察がまだ不十分である。PTOF部とCVI部を接続するための流路制御弁についても引き続き検討が必要である。ミクロン粒子の挙動制御は当初計画において想定した以上に様々な技術的課題があり、その追実験や理論検討に時間を要したため、全体的に遅れ気味となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、粒子ジェット部における粒径分離と可視二波長検出の完成度を高めることに優先的に取り組む予定である。その後、赤外二波長検出、さらには対向流バーチャルインパクタ (CVI) の開発に向けて研究を加速させる必要がある。最終的な完成度は進捗状況によるが、研究期間終了までにPTOF部とCVI部を連結した上で試作機の完成を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は主にPTOF部の粒径分解能の向上および流路制御弁の試作に必要な物品費である。実験・考察に時間を要したため、執行が完了していない。 PTOF部に関する追加実験および流路制御弁の試作を速やかに完了させ、平成30年度半ばまでの執行を目指す。
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