2017 Fiscal Year Research-status Report
環境中の放射性物質を高感度に迅速検知する小型装置の開発に向けた基本技術の検証
Project/Area Number |
16K12601
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木寺 正憲 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 仁科センター研究員 (60360533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和也 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 専任研究員 (70221356)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 環境放射線 / 大気中放射物計測 / 質量分析 / ゼオライト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は大気中の放射性キセノンをゼオライトを用いた吸着脱離法によって極限まで濃縮し、その濃縮試料をイオン源にてほぼ捨てることなく全量イオン化することによって、体積比でppqレベルの検出感度を有するシステムを構築するための基礎的研究を行うことである。 本年度は、まず、ゼオライト(ZSM5)の活性化作業および銀イオン交換条件を変更したものも製作中あるが、パウダー状のゼオライトの硝酸銀濾過に思いのほか時間がかかり、一つの条件設定で銀イオン置換操作に約一ヶ月要することになった。最初の条件にて製作したものは、簡易の打錠機にておおよそ同じ径にそろえたのちに、吸着システムの石英管に組み込まれた。現在は活性化の前の空気の通気の試験運転を行っている。吸着のための空気の通気時間はプリフィルターの為のモレキュラーシーブスやゼオライトを通した流量から計算しておおよそ一週間と見積もられる。フィールターの目詰まりによってはこれ以上要することもあると考えられる。活性化、吸着、脱離を何度か行い、銀イオン置換条件および活性化条件を変えた複数の濃縮キセノンサンプルを作成する。 また、濃縮したキセノンサンプルのほぼ全量イオン化技術にむけた分析装置は、検出部は小型のQ-massを備えており、イオン化部でのイオン量から途中の経路やQ-massでのイオンロスの見積もりを行った。これにより導入した濃縮キセノンがイオン化部でどれくらいイオン化したかを見積もることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ゼオライト(ZSM5)に対して硝酸銀水溶液にて銀イオン置換処理を行うことでキセノンの吸着能力を得るのだが、この置換作業が一つの条件で一ヶ月以上かかり、事業の目的の一つである最適条件の探査に予定以上の時間を要することになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
時間がかかっている銀イオン置換操作の効率をあげるため、置換用器具をもう1セット購入し、条件のことなるものを同時に進行させる。また、現在、濃縮レベル確認のためのガスクロマトの測定を行っているが、その後、ECRイオン源を用いた分析装置にてイオン化し測定する実験に8月頃には着手したい。
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Causes of Carryover |
ゼオライトに対しての硝酸銀水溶液にて銀イオン置換処理に予定外の時間をとられ、計画通りで実験、研究が行えなかった。実験が進まないとこの後の購入予定の機器の選定や仕様決定ができないため研究延長と次年度の使用額が生じた。 使用計画としては、時間がかかっている銀イオン置換処理用の器具を増やし効率化をはかりたい。また、濃縮を確認するためのガスクロマトのデータ処理の整備とその他必要な消耗品を購入予定である。
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