2017 Fiscal Year Annual Research Report
PM2.5 Exposure during Pregnancy and Maternal Environment
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16K12610
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
吉田 成一 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (40360060)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | PM2.5 / 胎仔 / DNAマイクロアレイ / 遺伝子発現解析 / 母体 |
Outline of Annual Research Achievements |
大気汚染物質の1つである微小粒子 (PM2.5)が次世代の雄性生殖機能や免疫系に影響を与えることが示唆されているが、PM2.5による影響発生メカニズムは不明である。そこで本研究では、妊娠マウスにPM2.5を処理し、胎仔の遺伝子発現解析を行い、出生仔の雄性生殖機能および免疫系に対する影響発生機序の解明を行うとともに、PM2.5の胎仔移行について検討した。 ICR系妊娠マウス10匹を用いた。Control群とPM2.5群に分け、1群5匹とし、PM2.5群には、PM2.5 (0.2mg/匹)を妊娠7日目、14日目に気管内投与した。妊娠15日目に胎仔を摘出した。雄性胎仔と胎盤及び母体の肝臓の発現遺伝子を解析した。 DNAマイクロアレイを用いて発現遺伝子の解析を行ったところ、全解析遺伝子56,689のうち、PM2.5群の雄性胎仔の発現量がControl群の雄性胎仔の2倍以上となった遺伝子は2,645、発現量が1/2以下となった遺伝子は298であった。そのうち性分化関連遺伝子 (解析対象428遺伝子)でそれぞれ、16、3遺伝子であった。また、細胞分化関連遺伝子 (6,179遺伝子)は、それぞれ137、27遺伝子が変動した。このことから、胎仔期におけるPM2.5曝露により、免疫系を含む各組織形成、発育に何らかの影響を及ぼす可能性が示唆される。さらに、母体肝臓と胎仔における異物代謝関連酵素の遺伝子発現変動様式はほとんど一致しなかったことから、PM2.5の胎仔移行は小さいことが示唆された。以上より、妊娠期に曝露したPM2.5は母体環境の変化を介して雄性胎仔の性分化や細胞分化に何らかの影響を及ぼし、雄性出生仔の生殖機能や免疫系に何らかの影響を及ぼすことが考えられる。
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