Outline of Annual Research Achievements |
)大気組成観測:大気エアロゾルおよび微量成分ガスの観測を「福岡から診る大気環境研究所」の学内外の研究者とともに継続して実施した。 2)長崎県福江島において,国立環境研究所,金沢大学と無人航空機による上空の新粒子生成の発現領域の探索を行い,2017年の観測からは,大陸流出気塊の対地 300mで粒子生成が起きていることを示す結果を得,論文投稿を行った。 3)エアロゾルの酸化能を評価するために採取したサンプルの酸化能分析と元素組成分析から得られたデータの解析を行い,金属としての銅などと酸化能,黄砂飛来と酸化能に一定の関係がみられ,一部は論文投稿を行った。また,2018年5月に,気象研究所,国立環境研究所,産業技術総合研究所による酸化能とエアロゾル元素組成の観測計画による集中観測を受け入れ,エアロゾルの存在状態と酸化ストレスの間に相関関係があることが明らかになりつつある。 4)モデル黄砂の涙液による変質実験:鉱物粒子の涙液による元素溶脱特性を検討するために,大気中から採取した黄砂およびモデル黄砂について,涙液を模した緩衝液などによる透析実験を行った。個々の粒子の形態と,元素組成,涙液による変質を個別粒子レベルで検討し,炭酸塩の溶脱とケイ酸塩からのカリウムの溶脱,粒子の膨潤が起こることを確認した。 5)実粒子による結膜炎発症の細胞試験:3次元角膜モデル細胞に,モデル黄砂や,黄砂の部分的な特性を代表するモデル粒子などを暴露し細胞組織の破損状況や,細胞破損に伴うサイトカイン類の検出試験などを行った。サンプル粒子として,黄砂のみならず,モデル都市粉塵なども用い,黄砂飛来時の粉じんにより, 細胞生存率の低下や細胞構造の破壊が進むことを確認し,結果を論文投稿,審査中である。 6)花粉のサンプリングを行い,その形態,アレルゲン放出と都市環境滞留の関係について検討を行った.
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