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2016 Fiscal Year Research-status Report

基底膜を利用したiPS細胞由来肺胞上皮細胞の分化培養法の開発

Research Project

Project/Area Number 16K12613
Research InstitutionNational Institute for Environmental Studies

Principal Investigator

伊藤 智彦  国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, 主任研究員 (60391067)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
KeywordsiPS細胞 / 肺上皮細胞 / 大気汚染物質 / 基底膜
Outline of Annual Research Achievements

環境汚染物質に対する毒性評価は、これまで実験動物を用いた曝露実験と共に培養細胞によるin vitro 評価法が実施されてきた。前者の曝露実験は正確性や緻密性に優れているが、動物愛護精神の高まりや実験費用を踏まえ、今後は後者のin vitro評価法をより正確且つ精密にin vivoを反映する培養系に発展させていくことが求められている。人工多能性幹細胞 (iPS 細胞) は生体内の各組織に分化できる能力を有することから、株化細胞に代わるツールとして着目されているため、新たなin vitro毒性評価系として応用できる可能性がある。本研究では、iPS細胞を用いた大気汚染物質に対する新たな毒性評価系の開発に着手すると同時に、細胞の発達や成熟に重要な役割を果たすことが知られている基底膜の有効性を調べた。
iPS細胞から肺上皮細胞への誘導を行うため、まず、iPS細胞から内胚葉、前方前腸内胚葉、肺前駆細胞への段階的な分化誘導を行った。その結果、iPS細胞から高純度の内胚葉に誘導することがPCR法および免疫染色法による解析によって確認できたが、肺前駆細胞の誘導は認められたものの効率が低かった。次に、肺前駆細胞から肺胞上皮細胞および気道上皮細胞への分化を試みた。FGF10により肺胞上皮細胞への分化誘導を行った結果、II型上皮マーカーであるSFTPC発現量やクララ細胞マーカーであるCC10が誘導された。一方で肺上皮前駆細胞からFGF7、FGF10、FGF18等の刺激により気道上皮細胞の元となる基底細胞への分化を行った結果、基底細胞マーカーのKRT5の誘導が確認されたが、特に細胞を基底膜上で培養した条件で強く誘導された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

iPS細胞から肺上皮細胞への分化誘導を行うためには、その前駆細胞である肺前駆細胞(NKX2.1+)を誘導する必要があるが、文献で報告されている方法では効率が低かったため、その後の各種肺上皮細胞への分化も効率が悪く、基底膜の有効性を示すことにも支障があった。そのため、この問題を解決するための検討に時間を要している。現在までのところ、内胚葉の誘導方法や内胚葉から前方前腸内胚葉への移行のタイミングが重要であることがわかったため、分化培養法を改善して検討しているところである。

Strategy for Future Research Activity

iPS細胞から誘導した肺前駆細胞から、肺胞上皮細胞あるいは基底細胞への分化誘導を行う。必要の際には細胞を剥離し、細胞の純度を高める。最終的に、細胞をマトリゲル、ラミニン511、基底膜下で培養する。基底細胞の場合は、各種の細胞外基質でコートされたセルカルチャーインサートに継代し、気層条件下で培養することで繊毛細胞および粘液分泌細胞への分化誘導を試みる。これらiPS細胞から誘導された肺上皮細胞について、大気汚染物質等の反応性について、初代細胞から得られたものと比較する。

Causes of Carryover

iPS細胞から肺前駆細胞に至るまでの途中段階で問題が生じていたため、進展がやや遅れている。そのため、iPS細胞から得られた目的の肺上皮細胞の分取にかかわる操作および解析等に必要な消耗品を次年度に繰り越している。

Expenditure Plan for Carryover Budget

iPS細胞から肺前駆細胞までの分化効率を高めるため、各種の内胚葉分化プロトコル間で分化誘導を免疫染色法やPCR法により比較を行う。また、分化誘導が十分ではなかった場合には、特異的抗体を用いた分取法や遺伝子操作により人工的に表面マーカーが誘導される系の検討を行う。更に得られた肺前駆細胞から肺胞上皮細胞や気道上皮細胞までの分化を検討し、効率的な分化誘導を基底膜を用いて検討する。また、iPS細胞から誘導した肺上皮細胞とヒト初代細胞間で、大気汚染物質(PM2.5を予定)による曝露影響を比較し、それぞれの反応性を調べる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2017

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 多能性幹細胞を用いた大気汚染物質の毒性評価系の検討2017

    • Author(s)
      伊藤智彦,戸次加奈江,市瀬孝道,曽根秀子
    • Organizer
      日本薬学会
    • Place of Presentation
      仙台国際センター(宮城)
    • Year and Date
      2017-03-27 – 2017-03-27

URL: 

Published: 2018-01-16  

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