2016 Fiscal Year Research-status Report
集積培養装置の革新によるnosZ clade IIタイプN2O還元細菌の獲得
Project/Area Number |
16K12616
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
寺田 昭彦 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30434327)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 亜酸化窒素(N2O) / N2O還元細菌 / nosZ clade II / 集積培養装置 / アンプリコンシーケンス解析 / 呼吸活性 / 動力学的解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 集積培養装置の改良:温室効果ガスおよびオゾン層破壊物質として知られている亜酸化窒素(N2O)の効率的な消費が可能なnosZ clade IIの未培養細菌の集積・単離に向け、ガス透過膜を用いた集積培養装置の改良を行った。集積培養装置の酸素除去用カラムを設置することにより、酸素のコンタミネーションを防ぐことが可能になった。 2. nosZ clade IIのN2O還元細菌の集積化に向けた植種バイオマス選定:亜硝酸イオン、硝酸イオン、一酸化窒素を電子受容体として利用しない偏性N2O還元細菌の集積化に向け、長期培養を開始した。種汚泥としてアナモックスリアクターのバイオマスを選定した。16S rRNA遺伝子に基づくアンプリコンシーケンスの結果、Chlorobi門やChloroflexi門などのnosZ clade IIに分類されるN2Oのみを電子受容体として用いる細菌群が存在していることが明らかになった。また、呼吸活性試験により、このバイオマスは外部電子供与体の添加を行わない条件でもN2O還元が起こることを示し、N2O還元速度を算出した。 3. 単離菌株のN2O還元特性:集積培養装置から集積・単離したnosZ clade IIに分類されるN2O還元細菌であるAzospira属に属する2種の単離菌株を用いてN2O還元特性に関する評価を行った。nosZ clade Iに分類されるN2O還元細菌2種と比較して、獲得したAzospira属の単離菌株はN2Oに対する親和性が高いことが明らかになった。試験に用いた4種類の単離菌株のうち、Azospira属の単離菌株の1つは酸素の存在下においてもN2O還元能を有し、微好気的な条件でもN2O削減に寄与できる種類であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究に利用する機器のセットアップが完了していたため、また、共同研究者との議論を密に行えたため、予定していた計画を着実にこなすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 偏性N2O還元細菌の集積化・単離 前年度に引き続き集積培養装置の運転を行い、特にnosZ clade IIに属するN2O還元細菌の集積化・単離を引き続き行う。単離が行えた場合は、呼吸活性装置を用いた動力学的特性の解析を行うとともに、細菌のゲノムのドラフト配列を取得し、窒素に関する代謝経路予測や新奇代謝機構の予測と検証を行う。 2. 比較メタゲノム解析 これまで獲得できているnosZ clade IIに分類されるN2O還元細菌ゲノムのドラフト配列を取得後、完全ゲノムの獲得を目指す。また、nosZ clade Iとの比較ゲノム解析を行うことにより生理学的特性の違いについての考察を行う。
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Research Products
(5 results)