2016 Fiscal Year Research-status Report
低温作動型高効率連続再生式PM2.5除去装置の開発に関する研究
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16K12618
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 剛 九州大学, 工学研究院, 准教授 (20321979)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | PM2.5 / 付着力 / 流動層 / 連続再生式 / PM燃焼 / ミネラル / 燃焼促進 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、これまで粒子間付着力を利用した流動層式PM除去装置を開発し、PM2.5の高効率捕集に成功してきた。PMはベッド粒子表面に付着・堆積することから、PMを捕集するとともに酸化処理を行えば、装置は半永久的に使用可能となる。そこで本研究では、流動層の低温燃焼特性に加え、酸化触媒の適用によりPMの低温酸化を促進することで、排ガスの熱で運用可能な高効率連続再生式PM2.5除去装置の開発を目指し、理論的・実験的検討を行う。平成28年度は、実験において本法の連続再生式としての基礎データ取得とミネラル分含有PMを用いた付着・燃焼実験により、ミネラル分の酸化促進効果について検討した。その結果、従来の装置ではPMを酸化処理するのに650℃程度の熱が必要であるが、本法では一般的なバスやトラックの排ガスに含まれるPM濃度30 mg/m3を対象とした実験により、400℃において連続再生式としての稼働が可能であることが示された。また、カリウムやカルシウム等のミネラル分の影響について考察した結果、カリウムの酸化促進効果が最も強く、PM捕集効率はより高い値を維持することができた。これらの結果から、現在、カリウムを担持させたベッド粒子を作製し、この触媒担持ベッド粒子を用いた連続再生式の実験を実施している。一方、数値シミュレーションでは、これまで気相-固相間のDrag forceとしてGidaspowモデルを用いてきたが、より解析精度の高いEMMSモデルの導入を行った。また、PM付着モデルを構築するとともに、ベッド粒子上に堆積したPMの影響を考慮したモデルを作成し、コールドモデルにおける解析を行った。その結果、解析結果は実験結果と良好に一致し、本解析モデルの妥当性が示された。現在は、PM酸化モデルを構築するとともに、数値シミュレーションへの導入を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた実験および数値シミュレーションをほぼ実施することができた。 実験では、流動層の加熱では少し苦労したが、装置を工夫することでクリアできた。また、PMにミネラル分を担持する方法についても苦労したが、反応・触媒工学の先生に担持方法を教わることでクリアできた。数値解析では、数値シミュレーションモデルにEMMSモデルの導入、PM付着モデルの導入、PM堆積量を考慮したモデルの導入を行ったが、概ね順調であった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に引き続き、理論的・実験的検討を行う。実験では、はじめに最も酸化促進が起こるカリウムを用いて触媒担持ベッド粒子を作製する。ベッド粒子としては、これまで使用してきた密な結晶構造を持つアルミナ粒子を用い、これにミネラル分を担持したものを流動層式PM2.5除去装置において使用する。ここで、アルミナ粒子にミネラル分を担持する場合は、粒子を取り囲むようにその周りにミネラル分の層を作り作製する。しかし、ミネラル分を担持した粒子を流動層に適用すると摩耗や粉砕が起こりやすくなるため、製作したベッド粒子を十分に流動化させて摩耗や粉砕が起こらないようにした上で適用する。この触媒担持ベッド粒子を用い、流動層温度、空塔速度およびPMの粒径をパラメーターとして付着・酸化実験を行う。これらの結果から、PMの酸化温度をどの程度下げることができるのかを明らかにする。数値シミュレーションでは、はじめに流動層式PM2.5除去装置の解析プログラムに適用するための低温域(300-400℃)のArrhenius型PM酸化反応モデルを作成する。流動層は攪拌・混合特性に優れPMと酸化剤の接触頻度が非常に高いため、低温域においても酸化反応が起こるが、TG等の装置ではこの現象が再現されていないため酸化反応が起こらない。そこで自作の実験装置を作製し、カーボンに直接、空気をあてることで300℃においてもPMの酸化反応が起こることを確認した。この実験装置を用いて低温域におけるPM酸化反応モデルを作成する。本モデルを数値解析プログラムに組み込み、実験結果との比較からプログラムの妥当性を検証後、操作条件やパラメータを変化させながら、PMの酸化反応の促進効果やPMの捕集率に関わる因子について検討し、本装置の最適化を行うとともに連続的に運用できる流動層の温度範囲およびPM2.5の濃度範囲について示す。
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